エリトリア州

エリトリア州は、1962年から1993年まで存在したエチオピアの行政区画の一つです。エチオピアの最北部に位置し、紅海に面した海岸線を有していました。この地理的な特性から、エリトリア州はエチオピアにとって重要な地域であり、唯一の海へのアクセスポイントでした。そのため、エリトリア州が独立したことにより、エチオピアは内陸国となりました。

エリトリア州は、北側を紅海に、北西側をスーダン、南東側をジブチと接し、南側は西からベゲムデル州、ティグレ州、ウォロ州と隣接していました。州都はアスマラです。

歴史

連邦制から併合へ

1952年9月15日、エチオピアとエリトリアはエチオピア・エリトリア連邦を結成しました。この連邦制のもとでは、両地域はそれぞれ独立した行政を維持しつつ、一つの連邦国家として統合されました。しかし、1962年にエチオピア帝国が軍政に移行すると、状況は一変します。エリトリアでは、ハミッド・イドリース・アワテ率いる勢力がエチオピア軍と戦闘を開始しており、エリトリア議会は連邦からの離脱を表明しました。これに対し、エチオピアは軍を動員して議会を包囲し、当時のエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世はエリトリア議会に圧力を加えました。その結果、エリトリア議会は強制的に解散させられ、エリトリアはエチオピアに併合されることとなりました。これにより、エリトリアはエチオピアの14番目の州となりました。

独立戦争と内戦

エチオピアによる併合に不満を抱いたエリトリアでは、独立を求める動きが活発化しました。エリトリア独立戦争が勃発し、エリトリア解放戦線(ELF)とエリトリア人民解放戦線(EPLF)が中心となって戦いました。しかし、1972年から1974年、そして1980年から1981年にかけて、ELFとEPLFの間で主導権争いが起こり、内戦状態に陥りました。

一方、エチオピアでは、1974年にハイレ・セラシエ1世が退位し、軍部によるエチオピア人民民主共和国が成立しました。この政権はソ連の衛星国となりましたが、国内ではエチオピア内戦が勃発し、1974年9月12日から1991年5月28日まで続きました。

独立と分離

エリトリア独立戦争は、EPLFと協力関係にあったエチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)が1991年5月にエチオピアの首都アディスアベバを陥落させたことで終結しました。その後、EPLFはエリトリア州内のエチオピア軍を掃討し、国内の戦闘は収束に向かいました。

1991年5月29日、エリトリアは独立宣言を行いました。一方のエチオピアでは、EPRDFのメレス・ゼナウィ新政権が樹立されました。メレス・ゼナウィ政権は1993年4月にエリトリア州の独立に関する国民投票を実施しました。

1993年5月24日、国民投票の結果、独立賛成が過半数を占め、これを受けてエチオピア政府はエリトリアの独立を承認しました。これにより、エリトリア州は正式に消滅し、エリトリアは独立国家としての地位を確立しました。1993年5月28日には、エリトリアは国際連合に加盟しました。

関連項目

エチオピアの行政区画(当時の行政区画はen:Provinces of Ethiopiaを参照。)
エチオピア関係記事の一覧
* エリトリア関係記事の一覧

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