エルフ (バンド)

エルフ (Elf): ロニー・ジェイムス・ディオの原点、そしてレインボーへ

エルフは、アメリカ合衆国出身のハードロックバンド。ロニー・ジェイムス・ディオがそのキャリアをスタートさせたバンドとして、そしてリッチー・ブラックモアが結成したリッチー・ブラックモアズ・レインボーの母体となったことで、その名を知られています。

バンドの歴史

黎明期 (1967年 - 1971年)

1967年、ニューヨーク州コートランドで結成。当初はThe Electric Elvesというバンド名でしたが、The Elvesと省略され、最終的にElfとなりました。結成当初のメンバーは以下の通りです。

ロナルド・パダヴォナ (ボーカル、ベース)
ダグ・サーラー (キーボード)
ゲイリー・ドリスコール (ドラムス)
デヴィッド・フェィンスティン (ギター)
ニック・パンタス (ギター)

1970年、ニック・パンタスが交通事故で亡くなったため、バンドは4人編成で活動を継続。その後、ダグ・サーラーが脱退し、ミッキー・リー・ソウルが加入しました。

レコーディングとライブ活動 (1972年 - 1975年)

1972年、エルフは大きな転機を迎えます。当時、第2期ディープ・パープルに在籍していたイアン・ペイスとロジャー・グローヴァーが彼らの演奏を観て感銘を受け、パープル・レコードから2人の共同プロデュースによるファースト・アルバム『エルフ』をリリースすることになったのです。当時のメンバーは以下の4人でした。

ロナルド・パダヴォナ (ボーカル、ベース)
デヴィッド・フェンスティン (ギター)
ゲイリー・ドリスコール (ドラムス)
ミッキー・リー・ソウル (キーボード)

さらに、彼らは第2期ディープ・パープルのアメリカ・ツアーでオープニングアクトを務め、その知名度を高めていきました。

1973年、ロナルド・パダヴォナはロニー・ジェイムス・ディオと改名し、ボーカルに専念することになり、クレイグ・グルーバーがベーシストとして加入。また、デヴィッド・フェンスティンが脱退し、スティーヴ・エドワーズが後任ギタリストとして加入しました。新たなメンバー構成となったエルフは、同年10月に活動を再開。

1974年4月、パープル・レコードから、ロジャー・グローヴァーのプロデュースによるセカンド・アルバム『キャロライナ・カウンティ・ボール』を発表。アメリカでは『L.A./59』というタイトルでリリースされました。

当時のメンバー構成は以下の通りです。

ロニー・ジェイムス・ディオ (ボーカル)
スティーヴ・エドワーズ (ギター)
クレイグ・グルーバー (ベース)
ゲイリー・ドリスコール (ドラムス)
ミッキー・リー・ソウル (キーボード)

彼らは第3期ディープ・パープルのイギリス・ツアーでもオープニングアクトを務め、着実にキャリアを積み重ねていきました。

1974年末からサード・アルバムのレコーディングを開始。同郷のコートランド出身のパーカッショニスト、マーク・ナウシーフが参加し、1975年6月にはMGMレコードから、ロジャー・グローヴァーのプロデュースによる『バーン・ザ・サン』を発表しました。

当時のメンバーは以下の通りです。

ロニー・ジェイムス・ディオ (ボーカル)
スティーヴ・エドワーズ (ギター)
クレイグ・グルーバー (ベース)
ゲイリー・ドリスコール (ドラムス)
ミッキー・リー・ソウル (キーボード)
マーク・ナウシーフ (パーカッション)

エルフの消滅、そしてレインボーへ (1975年)

第3期ディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアは、自身の音楽性の変化から、バンドの方向性に不満を抱いていました。そんな中、彼はエルフの才能、特にディオの歌声に可能性を見出し、彼らと新しいバンドを結成することを決意します。

1975年、ブラックモアはディオ、グルーバー、ソウル、ドリスコールと共に、新しいバンドのデビュー・アルバムを制作。そして、ディープ・パープルを脱退し、新たな道を歩み始めます。

エルフのメンバーは、パープル・レコードとの契約を解消し、オイスター・レコードと契約。そして、1975年8月、リッチー・ブラックモアズ・レインボーとしてデビューアルバムを発表し、エルフはその活動を終えることとなりました。

メンバーのその後

エルフは、活動当時はそれほど大きな成功を収めたバンドではありませんでしたが、そのメンバー、特にロニー・ジェイムス・ディオの存在によって、後世のハードロック、ヘヴィメタルシーンに大きな影響を与えました。

ロニー・ジェイムス・ディオ: その後、ソロアーティストとして、またディオ、ブラック・サバスなどのバンドで活躍し、ヘヴィメタル界の伝説的なボーカリストとなりました。
クレイグ・グルーバー、ゲイリー・ドリスコール、ミッキー・リー・ソウル: レインボーを解雇された後、それぞれ音楽活動を続けました。
マーク・ナウシーフ: イアン・ギラン・バンドなどを経て、民族音楽の研究者、演奏家として活動しています。
ダグ・サーラー: 音楽マネージメントの世界で成功を収めています。
デヴィッド・フェィンスティン: ヘヴィメタル・バンド、ザ・ロッズを結成し活動しました。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム
エルフ (1972年)
キャロライナ・カウンティ・ボール (1974年)
* バーン・ザ・サン (1975年)

エルフは、短い活動期間ながらも、ロニー・ジェイムス・ディオという偉大なボーカリストを輩出し、リッチー・ブラックモアズ・レインボーという伝説的なバンドの礎を築いた、重要なバンドとして、その名をロック史に刻んでいます。

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