エルフリーダ・アンドレー

エルフリーダ・アンドレー

スウェーデンの作曲家、オルガニスト、指揮者であるエルフリーダ・アンドレー（Elfrida Andrée, 1841年2月19日 - 1929年1月1月11日）は、女性が音楽の専門分野で活躍することが困難だった時代に、革新的なキャリアを切り開いた人物です。ゴットランド島のヴィスビューに生を受け、ヴェストラ・イェータランド県の県都ヨーテボリでその生涯を閉じました。彼女は、スカンジナビア地域において、女性として初めて公的な大聖堂の首席オルガニストという重要な地位に就任した歴史的な先駆者として知られています。また、当時のスウェーデンにおける女性解放運動においても積極的に活動し、女性の権利向上に貢献しました。

アンドレーは、医師であった父アンドレアス・アンドレーのもとに生まれました。姉フレーゼリカ・ステーンハマルはオペラ歌手として活躍しており、芸術に囲まれた環境で育ちました。音楽教育は、ルードヴィグ・ヌールマンとニルス・ゲーゼという高名な師について受けました。

1861年、アンドレーは首都ストックホルムで音楽活動を開始しました。同年には、スウェーデン第二の都市であるヨーテボリの大聖堂（ヨーテボリ大聖堂）のオルガニストに着任しました。この任命は、女性が音楽の権威ある公職に就くことが極めて珍しかった時代において、画期的な出来事でした。彼女はその職務を長年にわたり務め上げ、オルガニストとしての卓越した技量と音楽への深い貢献を示しました。その功績は高く評価され、スウェーデン王立音楽アカデミーの一員に選出される栄誉を得ています。

作曲家としても多作であり、幅広いジャンルにわたる作品を残しました。特に注目されるのはオルガン作品で、中でもオルガン交響曲は現在でも演奏機会があり、彼女の代表作の一つとして認識されています。

主要な作品群は以下の通りです。

歌劇: セルマ・ラーゲルレーヴの台本に基づいた《フリチョフの神話》（1899年）
管弦楽曲: 4曲の交響曲を含む、複数の管弦楽作品があります。
室内楽曲:
ピアノ四重奏曲 イ短調（1870年）
ピアノ五重奏曲 ホ短調（1865年出版）
ピアノ三重奏曲 ト短調（1887年）
ピアノ三重奏曲（遺作）ハ短調
弦楽四重奏曲 ニ短調（1861年）
弦楽四重奏曲 イ長調
ヴァイオリンとピアノのための作品:
ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調
ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調
* 声楽曲: 《スウェーデン・ミサ曲（Svensk Mässa）》や多数の歌曲などがあります。

アンドレーの作品は、ロマン派の語法を基調としながらも、明確な構成と豊かな表現力を持っています。女性が公の場で音楽家、特に作曲家や指揮者として認知されることが困難だった時代に、その才能と努力によって道を切り開き、後進の女性音楽家に大きな影響を与えました。彼女の生涯と業績は、音楽史だけでなく、スウェーデンにおける女性史においても重要な一章を占めています。

もう一度検索