エルミタージュの猫

エルミタージュの猫

エルミタージュの猫（エルミタージュのねこ、ロシア語: Эрмитажные коты）は、ロシアのサンクトペテルブルクに位置するエルミタージュ美術館に暮らす猫たちを指します。これらの猫は、「エルミタージュ美術館の猫」とも知られ、美術館において特別な役割を果たしています。

概要

美術館には猫専用のスタッフが配置され、3人の職員が彼らの世話を担当しています。猫たちは主に美術館の地下に居住しており、以前はギャラリーの中を自由に歩き回ることができました。しかし、現在は主に夏季に宮殿の堤防や広場に姿を見せることが多いです。2010年に猫たちの管理をしていたマリア・カルトゥーネンは、館内には約60匹の猫がいるとジョークを交えながら述べましたが、実際は美術館が公式に飼っているのはおおよそ50匹です。2015年には、猫担当部門のイリーナ・ポポベッツが「私たちの猫は、私たちのコレクションに匹敵するほどの知名度を持っています」と語っています。

2013年には、猫の数が一時74匹に達しましたが、それ以降去勢されました。また、美術館内には猫を食べさせるためのキッチンや、医療サービスを提供する小さな病院も整備されており、それぞれの猫の好みに応じた食事が準備されています。社交的でない猫たちのためには、別の部屋も用意されています。美術館への寄付は猫たちのためにも使われており、2013年にはニーズに応じた支援が行われました。中には、慈善団体「プロ・アニマル」からの寄付や、ロイヤルカナンからのスポンサー料が毎月400ユーロに達するということもありました。

歴史

エルミタージュの猫たちの歴史は18世紀にさかのぼります。当時、この美術館は宮殿として機能していたため、1745年にロシアの女帝エリザヴェータが絵画コレクションをネズミから守るために猫を連れてくるよう命じました。この猫たちは、ネズミ捕りの名手として知られるカザン出身だと伝えられています。第二次世界大戦中には、レニングラード包囲戦の影響で残った猫たちが餓死する事態が起きましたが、新しい猫のグループが後を引き継ぎました。

1990年代後半に入ると、ソ連崩壊に伴う厳しい状況に置かれた猫たちを保護する動きが始まりました。2007年には、エルミタージュ美術館がたくさんの猫を受け入れる里親制度を設置しました。この取り組みは、猫たちを支えるだけでなく、地域の人々にも猫の引き取りを促したのです。

2011年には「猫祭り」が初めて開催され、猫をテーマにした絵画コンテストや子供たちが参加する競技が行われるようになりました。この祭りは毎年3月に行われ、新しい猫の飼い主を見つけるイベントとして定着しています。さらに、美術館の人気が高まる中、猫の里親制度への関心を高めるために特別なウェブサイトも立ち上がっています。ある猫のオーナーは、「エルミタージュの猫の里親になれたことを誇りに思います」と語っています。

関連項目

エルミタージュの猫と同様に、他の公共の施設でもネズミを防ぐために猫が飼われている例があります。例えば、カナダ国会議事堂の猫、イギリス首相官邸のネズミ捕獲長、さらにイギリスのロイヤルメールで飼われていた「偉大なるティブス」などが挙げられます。

というわけで、エルミタージュ美術館の猫たちは、単なる動物ではなく、美術館の文化と歴史を代表する存在として、多くの訪問者に愛されています。

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