エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃

エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃

1988年にアメリカで製作されたホラー映画で、『エルム街の悪夢』シリーズの第4作目にあたる作品です。原題は『A Nightmare on Elm Street 4: The Dream Master』。日本では当初『ザ・ドリームマスター 最後の反撃』の邦題で劇場公開されましたが、ビデオソフト化の際には『エルム街の悪夢4』がタイトルに冠されるようになり、現在ではこの長いタイトルで広く知られています。

物語のあらすじ

物語は、前作で辛くもフレディ・クルーガーの恐怖から逃れたクリスティンが、再び悪夢にうなされる日々を送っているところから始まります。彼女は前作で共に生き残った友人たち、ジョーイやキンケイドにもフレディの危険が迫っていることを警告しますが、彼らは耳を傾けません。

そして、ついに悪夢の殺人鬼フレディ・クルーガーが復活を果たします。それは、キンケイドの飼い犬ジェイソンが、フレディの遺体が埋められた場所を掘り起こしてしまったためでした。フレディは再び若者たちの夢に現れ、現実世界にも影響を及ぼす残忍な方法で彼らを殺害していきます。

クリスティンとその友人たちは次々とフレディの餌食となり、非業の死を遂げていきます。クリスティンもまた、悪夢の中で凄惨な最期を迎えますが、彼女は死の直前、自身の持っていた特殊な能力を友人であるアリスへと受け渡します。アリスは、クリスティンの恋人リックの妹でもありました。

アリスは、他者の夢の力や能力を吸収し、自身のものとすることができる「ドリーム・マスター」としての潜在能力を持っていました。フレディによって仲間たちが次々と命を落とすのを目の当たりにしたアリスは、その能力を覚醒させ、夢の世界を自在に操る力を用いて、フレディとの最終決戦に臨むことを決意するのでした。兄のリックや友人のダンもアリスを支えようとしますが、フレディの魔手は彼らにも迫ります。

登場人物たち

フレディ・クルーガー: 人々の悪夢に現れ、その中で殺害することで現実でも死に至らしめる不死身の殺人鬼。前作で一旦は消滅したかに見えましたが、再び復活し、若者たちを恐怖に陥れます。
アリス・ジョンソン: 今作の主人公。内向的な性格でしたが、クリスティンから力と意思を受け継ぎ、夢の力を吸収する「ドリーム・マスター」として覚醒。フレディに立ち向かいます。
クリスティン・パーカー: 前作の主人公で、フレディの悪夢を生き延びた少女。しかし、再び悪夢に悩まされ、フレディ復活の最初の犠牲者の一人となります。彼女の能力がアリスに継承されます。
リック・ジョンソン: アリスの兄。空手などの武術に長けており、妹を深く案じています。陽気な性格の持ち主です。
ダン・ジョーダン: アリスのクラスメイト。アリスと共にフレディの脅威と戦うことになります。
デビー・スティーヴンス: アリスの友人。明るくサバサバした性格ですが、フレディの悪夢によって凄惨な形で命を落とします。
シーラ・コペッキー: アリスの友人。喘息の持病があり、真面目な性格。彼女もまたフレディの犠牲となります。
ジョーイ・クルーセル、ローランド・キンケイド: 前作の生存者でクリスティンの友人たち。クリスティンの警告を無視した結果、フレディ復活後の最初の犠牲者となります。

製作と評価

本作の監督は、後に『ダイ・ハード2』なども手掛けるレニー・ハーリンが務めました。美術はミック・ストローンとC・J・ストラウン、衣装はオードリー・M・バンズマー、字幕は岡枝慎二が担当しました。

興行面では大きな成功を収め、全米1765館で公開され、週末興行収入で1280万ドルを記録。最終的な国内興行収入は4930万ドルに達し、『フレディVSジェイソン』に次ぐシリーズ第2位の成績となりました。

批評家の評価は分かれました。レビュー集積サイトRotten Tomatoesでは、30件のレビューに基づく支持率は53%で、平均点は5.00/10でした。Metacriticでは、10件のレビューの加重平均値が56/100となっています。また、第9回ゴールデンラズベリー賞では最低主題歌賞にノミネートされています。

特記事項

1991年、オランダのハードコアテクノユニットHOLY NOISEが、本作のフレディの声など、劇中の音声をサンプリングした楽曲「The Nightmare」をリリースしました。特に主人公とフレディの決闘シーンの音声が使用されています。この楽曲は人気を博し、複数のバージョンやリミックスが存在します。日本でも1992年にエイベックス・トラックスから発売されたコンピレーションアルバムに収録され、一部で認知度が高まりました。ただし、サンプリングの権利処理が行われていたかは不明とされています。

本作は、シリーズ中盤において商業的な成功を収めつつも、批評的には賛否両論を呼んだ作品であり、夢の能力を引き継ぐ新たな主人公の登場と、より派手になったフレディの描写が特徴と言えるでしょう。

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