エルンスト2世 (ザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公)

エルンスト2世ルートヴィヒ：啓蒙君主、芸術と科学の擁護者

エルンスト2世ルートヴィヒ（1745年1月30日 - 1804年4月20日）は、ザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公として、1772年から1804年までその地を治めました。彼は啓蒙思想の影響を強く受け、芸術と科学の発展に尽力した君主として知られています。

生涯：啓蒙思想に導かれた君主

エルンスト2世は、フリードリヒ3世とルイーゼ・ドロテア・フォン・ザクセン＝マイニンゲンの息子として生まれました。兄の早世後、母ルイーゼはエルンストとその弟アウグストの教育に心血を注ぎます。厳選された講師陣による教育の結果、兄弟は文学、科学、官房学といった分野で深い知識を身につけました。

1768年から1769年にかけて、エルンストはグランドツアーでオランダ、イギリス、フランスを訪れ、各国の政治、科学、芸術分野の著名人と交流を深めました。これらの経験は、彼の思想形成に大きな影響を与えたと考えられます。

啓蒙君主としての功績

エルンスト2世は、芸術と科学に対する幅広い関心と、明確な目標に基づいた政策によって、領内を大きく発展させました。教育制度、経済、劇場、芸術コレクション、図書館、自然科学など、多岐にわたる分野を奨励し、チューリンゲンのザクセン諸公国の中で主導的な地位を確立しました。特に天文学と物理学に強い関心を持ち、これらの分野で有能な専門家を積極的に登用しました。

1783年には、ゲーテの仲介により、画家ティシュバインにローマ滞在の助成金を与えました。この時に描かれた歴史画はゴータ宮廷にもたらされ、芸術振興への貢献を示しています。

また、著名な天文学者フランツ・フォン・ツァハをゴータに招き、共にゴータ天文台を設立しました。この天文台は、やがてヨーロッパの天文学の中心地として発展しました。

居城であるフリーデンシュタイン城の南には、広大な公爵公園が造園されました。叔母の紹介で、キューガーデンの庭師ジョン・ヘイヴァーフィールドを設計に迎え、彼の計画に基づいて、宮廷庭師クリスティアン・ハインリヒ・ヴェーマイヤーが庭園を完成させました。この公園は、現在も美しい景観を保ち、訪れる人々を魅了しています。

エルンスト2世の尽力により、ゴータは小規模ながらも高い評価を受ける都市となり、ゲーテをはじめとする多くの文化人が頻繁に訪れるようになりました。

フリーメイソンとイルミナティ

エルンスト2世は、1774年よりドイツのグランド・ロッジのフリーメイソンに所属し、ゴータのロッジ「Zum Rautenkranz」のメンバーとして活動しました。1775年には、ドイツのグレート・ステート・ロッジのグランド・マスターに就任しています。1783年にはイルミナティにも入会し、1787年以降は「ドイツ・フリーメイソン連盟」の計画を推進しました。

その他の事績と伝説

フランス革命の影響を受け、エルンスト2世は退位してスイスまたはアメリカに移住することを検討し、そのために土地を取得しました。しかし、最終的にはゴータに留まりました。

エルンスト2世の時代、ゴータ貨幣鋳造所は操業を停止せざるを得ませんでした。これは、父の時代の金融政策の失敗が原因でした。

エルンスト2世は、自らの葬儀について「普段着を着て亜麻布に包まれ、裸地に埋葬される」ようにと定めました。彼の遺言に従い、墓石や記念碑は一切建てられず、フリーメイソンの象徴であるアカシアの木が墓の上に植えられました。

科学への関心とフリーメイソンとしての活動から、エルンスト2世は魔法の能力を持つ人物として人々に信じられていました。火事を鎮める力があったという伝説も残っています。

子女

1769年、ザクセン＝マイニンゲン公アントン・ウルリヒの娘シャルロッテと結婚し、4人の息子をもうけました。そのうち2人が成人し、後のザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公となっています。

エルンスト2世ルートヴィヒは、啓蒙思想に導かれ、芸術と科学を愛し、ゴータの発展に大きく貢献した君主でした。彼の遺産は、現在もゴータの街に息づいています。

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