エルヴィス・プレスリー登場!

エルヴィス・プレスリーの歴史的デビューアルバム

『エルヴィス・プレスリー登場!』は、1956年3月に発売されたエルヴィス・プレスリーの記念すべきデビューアルバムです。このアルバムは、当時まだ無名に近かったエルヴィスの人気を爆発的に高め、音楽史にその名を刻むこととなりました。

アルバム制作の背景

アルバムの制作は、デビューシングル「ハートブレイク・ホテル」がチャートに登場したばかりの頃に行われました。まだヒットの保証がなかったため、サン・レコードで録音されていた5曲と、RCAでの2回のセッションで録音されたカバー曲5曲、そしてその場で制作された新曲2曲が収録されました。この多様な選曲が、エルヴィスの幅広い音楽性を初期から示すこととなりました。

大ヒットと影響

蓋を開けてみると、アルバムは10週連続で1位を獲得し、発売から約1年間チャートインするという大ヒットを記録しました。RCAのポップスアルバムとしては、ソロアーティストとして史上初の100万ドル以上の収益を上げ、RCAのポップス部門最大のヒット作となりました。この成功を受けて、8月31日には6枚のシングルカットも行われました。

エルヴィス自身は、収録曲の中で「ワンサイデッド・ラブ・アフェア」が一番のお気に入りだったと語っています。アルバムのジャケット写真は、1955年1月31日にフロリダ州タンパで撮影されたもので、エルヴィスの後ろにいるのはベーシストのビル・ブラックです。

収録曲とアレンジ

「ただひとりの男」は、RCAのプロデューサーであるスティーヴ・ショールズがエルヴィスに提供した曲で、エルヴィスのアイデアでカントリーシャッフルが取り入れられました。エルヴィスはこの曲を特に気に入っており、録音にも自信を持っていたと後に語っています。アレンジは即興演奏から練り上げられ、エルヴィスが納得するまで何度もやり直されました。技術的な完璧さよりも、フィーリングを重視する彼の姿勢が表れています。また、スタジオでの彼のパフォーマンスは非常に激しく、その様子を見たチェット・アトキンスは「こんなものは二度と見られない」と語るほどでした。

テレビ出演と社会現象

「ハートブレイク・ホテル」の発売直後、エルヴィスは人気番組「ザ・ドーシー・ショー」に出演し、その後の3月にかけて同番組に6回出演しました。4月には「ミルトン・バール・ショー」に出演し、推定4000万人の視聴者を獲得しました。さらに7月には、「スティーヴ・アレン・ショー」で55%という驚異的な視聴率を叩き出しました。しかし、これらの出演は大きな反響を呼び、彼の腰の動きや歌声、姿が批判の的となりました。

エド・サリヴァンは当初、エルヴィスを自分の番組に出演させないと言っていましたが、「スティーヴ・アレン・ショー」でのエルヴィスの成功に刺激され、最終的には出演を許可しました。1956年9月、エルヴィスが「エド・サリヴァン・ショー」に初出演した際には、82.6%という驚異的な視聴率を記録しました。しかし、エルヴィスへの批判は止まず、レコードが焼かれたり、人形が火あぶりにされたりするなどの過激な行為も発生しました。

アルバムの遺産

このアルバムは、その後の音楽シーンに大きな影響を与えました。ザ・クラッシュのアルバム『ロンドン・コーリング』のジャケットは、このアルバムへのオマージュです。『ローリング・ストーン』誌が選ぶ「オールタイム・ベスト・アルバム500」では56位、「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」では79位にランクインしています。

収録曲

オリジナル盤

A面:
ブルー・スエード・シューズ
アイ・ラブ・ユー・ビコーズ
トライイング・トゥ・ゲット・トゥ・ユー
アイム・カウンティング・オン・ユー
アイ・ガット・ア・ウーマン

B面:
ワンサイデッド・ラブ・アフェア
シェイク・ラトル・アンド・ロール
アイ・ラブ・ユー・ビコーズ
マネー・ハニー
ブルー・ムーン
サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート


ボーナス・トラック (1999年 アップグレイド盤)
ハートブレイク・ホテル
ただひとりの男
アイ・ワズ・ザ・ワン
マイ・ベイビー・レフト・ミー
アイム・ガンナ・シット・ライト・ダウン
テディ・ベア

レガシー・エディション
ディスク1
オリジナルアルバム収録
ディスク2
ボーナストラック

参加ミュージシャン

エルヴィス・プレスリー - ボーカル、ギター、ピアノ
スコティ・ムーア - ギター
チェット・アトキンス - ギター
フロイド・クレイマー - ピアノ
ショーティ・ロング - ピアノ
マーヴィン・ホッジス - ピアノ
ビル・ブラック - ベース
D.J.フォンタナ - ドラム
ジョニー・バーネロ - ドラム (on "Trying to Get to You")
ゴードン・ストーカー - バッキングボーカル
ベン・スピア - バッキングボーカル
* ブロック・スピア - バッキングボーカル

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