エルヴィス (映画)

映画『エルヴィス』：伝説のロックスターの光と影

2022年に公開された映画『エルヴィス』は、アメリカの伝説的なロックスター、エルヴィス・プレスリーの生涯を、バズ・ラーマン監督が独特の映像美と音楽で描き出した伝記映画です。主演のオースティン・バトラーがエルヴィスを熱演し、トム・ハンクスがエルヴィスのマネージャーであるトム・パーカー大佐を演じています。

ストーリー：栄光と挫折の人生

物語は、1997年、死の床にあるトム・パーカー大佐が、エルヴィスとの日々を回想するところから始まります。1954年、カントリー歌手のマネージャーだったパーカーは、ツアー先で新人歌手エルヴィスと出会います。エルヴィスの独特なパフォーマンスに熱狂するファン、特に女性ファンの姿に、パーカーはエルヴィスの才能を見抜きます。

当時のアメリカは人種隔離が合法化されていた時代。黒人音楽の影響を受けたエルヴィスの歌唱法やパフォーマンスは、「黒人の真似」と批判されることもありました。しかし、エルヴィスは、その才能とカリスマ性で、瞬く間にロックンロールのスターダムを駆け上がります。

パーカーは、エルヴィスのマネージャーとして、彼のキャリアを築き上げますが、その一方で、エルヴィスを支配し、利用しようとします。エルヴィスは、豪華な生活を送る一方で、自身の音楽性やプライベートな問題に苦悩します。結婚生活は破綻し、麻薬に溺れていくエルヴィス。パーカーは、エルヴィスの稼ぎの50%を搾取し、海外公演を妨害し続けます。

実は、パーカー自身が密入国者であり、大佐という肩書きも偽りでした。エルヴィスは、パーカーとの関係を断ち切ろうとしますが、多額の借金を抱えており、パーカーの言いなりにならざるを得ません。そして、1977年、エルヴィスは42歳という若さで急逝します。

キャスト

エルヴィス・プレスリー：オースティン・バトラー（小野大輔）
若い頃のエルヴィス・プレスリー：チェイトン・ジェイ
トム・パーカー大佐：トム・ハンクス（江原正士）
プリシラ・プレスリー：オリヴィア・デヨング（井上麻里奈）
グラディス・プレスリー：ヘレン・トムソン（田村聖子）
ヴァーノン・プレスリー：リチャード・ロクスバーグ（中根徹）
* B.B.キング：ケルヴィン・ハリソン・Jr

その他、多数の豪華キャストが出演しています。

製作

2014年に企画が発表され、当初は別の脚本家が担当していましたが、2019年にバズ・ラーマン監督が就任し、脚本も変更されました。エルヴィス役には、アンセル・エルゴート、マイルズ・テラー、オースティン・バトラーなど、多くの候補が挙がりましたが、最終的にバトラーが選ばれました。

撮影は、2020年1月にオーストラリアで開始されましたが、トム・ハンクス夫妻が新型コロナウイルスに感染したため、一時中断しました。その後、撮影は再開され、2021年3月に終了しました。

音楽

映画には、エルヴィスの楽曲だけでなく、様々なアーティストが参加したオリジナル楽曲も収録されています。ドージャ・キャットの「ヴェガス」や、エミネムとシーロー・グリーンのコラボ曲「ザ・キング・アンド・アイ」など、話題の楽曲が多数収録されています。

映画の音楽は、エルヴィスの若き日の歌声と、オースティン・バトラーの歌声をミックスして使用されています。特に、バトラーが歌うシーンは、まるでエルヴィス本人が歌っているかのように、観客を魅了します。

作品の評価

映画の評価は、批評家によって意見が分かれていますが、全体的には高評価を得ています。Rotten Tomatoesでは、77%の高評価を獲得し、批評家からは、バズ・ラーマン監督の演出と、オースティン・バトラーの演技を高く評価する声が多く上がっています。一方、Metacriticでは、平均点が64点と、やや評価が分かれています。

まとめ

『エルヴィス』は、伝説のロックスター、エルヴィス・プレスリーの生涯を、華やかな映像と音楽で描き出した、見応えのある伝記映画です。オースティン・バトラーの熱演と、バズ・ラーマン監督の独特な演出は、観客をエルヴィスの世界へと引き込みます。エルヴィスのファンはもちろん、音楽映画好きにとっても必見の作品です。

この映画を通じて、エルヴィス・プレスリーの音楽と人生に触れ、その魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。

もう一度検索