エル・ディアリオ・バスコ

エル・ディアリオ・バスコ：バスク地方の日刊紙

『エル・ディアリオ・バスコ』（El Diario Vasco）は、スペイン・バスク州ギプスコア県サン・セバスティアンに本社を置く、スペイン語の日刊総合新聞です。紙面はほぼスペイン語ですが、一部英語のページも存在します。

歴史：内戦から現代まで

1934年、保守系の著作家フアン・イグナシオ・ルカ・デ・テナやラミロ・デ・マエストゥらによって創刊されました。彼らは王室支持の立場を強く主張していました。スペイン内戦中にはナショナリスト派を支持したため、一時的に共和国政府によって封鎖されましたが、ナショナリスト派がサン・セバスティアンを制圧すると再び発行されるようになりました。

その後、フランコ体制下で他の多くの新聞と同様に法的規制を受けましたが、民主化後も保守的な自由主義の立場を維持しました。2001年には、バスク祖国と自由（ETA）のメンバーによって最高財務責任者（CFO）が殺害されるという事件も発生しています。現在はボセント・グループが所有しており、ギプスコア県内外で地域版を発行しています。

2001年以降の動向

高速新線と廃棄物焼却炉問題

2002年、『エル・ディアリオ・バスコ』は高速新線バスクYのルートや、スビエタにおける廃棄物焼却炉建設を強く支持する報道を行いました。しかし、バスクYは住民の反対により、焼却炉予定地を迂回するルートに変更されました。スビエタの焼却炉建設計画は、環境への影響や住民の税負担増加などの問題から、2019年現在も着工されていません。

エウスカル・エリア・ビルドゥ批判

2011年と2015年のバスク州議会選挙では、左派民族主義のEHビルドゥに対して批判的な論陣を張りました。バスク社会党（PSE-EE）やバスク民族主義党（PNV）に対しても、反リベラルな保守的論調を継続しています。

PNV・PSEという予期せぬ連合

2012年のバスク州議会選でPNVが勝利した後、『エル・ディアリオ・バスコ』はPSE-EEと国民党（PP）による野党連合を画策しましたが、これは実現しませんでした。その後、PNVとPSEが連携し政権を樹立すると、『エル・ディアリオ・バスコ』はやむなくこの政権を静観する戦略に転換しました。

PNV・EH ビルドゥ連立政権批判

バスク州議会のPNV・EHビルドゥ連立政権に対しては、常に批判的な報道を続けています。バスク民族主義者の民意を反映した連立政権に対し、スペイン主義への支持を背景に不快感を示し、形成を変えるための対策を講じようとしています。

バスク主義対スペイン主義党争への報道姿勢

『エル・ディアリオ・バスコ』は、バスク民族主義者とスペイン国家主義者の対立構造を軸に報道を行っています。選挙で支持勢力が勝利した場合には大きく報道し、販売数増加のためには和平プロセスに言及することもあります。バスク主義担当とスペイン主義担当の編集班が同じ政治部に所属しているのも特徴です。

特色：スポーツ報道

スポーツ欄では、サッカー情報が特に充実しており、レアル・ソシエダとアスレティック・ビルバオ関連のニュースが他のクラブよりも多く報道されます。2018年には、イニゴ・マルティネスのレアル・ソシエダからアスレティック・ビルバオへの移籍を批判的に報道する一方、アルバロ・オドリオソラのレアル・マドリード移籍は肯定的に報道するなど、地元クラブへの肩入れが見られます。

発行部数の減少

2004年から2014年までの10年間で、読者数を約半分も失いました。最新のデータでも、読者数・販売数の減少は継続的に続いています。

関連項目

* スペインの新聞一覧

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