エロイ・ロハス

ベネズエラが生んだ屈指のプロボクサー、エロイ・ロハスは1967年3月25日に首都カラカスで誕生しました。キャリアの大部分をフェザー級で過ごし、その卓越した技術と戦績によって世界ボクシング協会（WBA）の世界チャンピオンに輝いた経歴を持つ、南米を代表するファイターの一人です。また、日本の名門である帝拳プロモーションとマネージメント契約を結び、日本のボクシングファンにもその存在を知られることとなりました。

彼のプロキャリアは1986年12月12日にスタートしました。デビュー戦を4回判定勝ちで飾ると、その後も順調に白星を重ね、プロ10戦目となる1988年8月27日には、見事ベネズエラ国内のフェザー級王座を獲得します。さらに翌1989年7月7日、キャリア13戦目にしてWBAラテンアメリカフェザー級王座も手中に収め、着実に地域のトップへと駆け上がっていきました。

1990年には、かねてより関係の深かった日本の帝拳プロモーションと正式にマネージメント契約を締結。これにより、日本のリングに登場する機会を得て、同年中に3度の試合を日本で行い、いずれも勝利を収めるなど、日本でもその実力を証明しました。

国内外での実績を積み重ねたロハスは、1991年9月14日、プロ23戦目でついに世界王座初挑戦のチャンスを掴みます。敵地韓国に乗り込み、当時のWBA世界フェザー級王者であった朴永均選手に挑みました。しかし、世界最高峰の壁は厚く、12ラウンドフルに戦い抜いたものの、判定で惜敗。世界王座獲得はなりませんでした。

初挑戦での挫折を乗り越え、ロハスは再び世界の舞台を目指します。1993年5月7日には、かつて獲得したWBAラテンアメリカフェザー級王座を再び獲得。同年8月7日にはこの王座の初防衛にも成功し、着実に再起への道を歩みました。

そして1993年12月4日、彼は再び世界の頂点へ挑みます。場所は前回と同じ韓国、相手も因縁の朴永均選手でした。世界王座をかけた二度目の対戦は、前回の雪辱を果たすべくロハスが渾身のファイトを展開。12ラウンドに及ぶ激闘の末、判定で勝利を掴み取り、プロ29戦目にしてついに悲願のWBA世界フェザー級チャンピオンのベルトを巻きました。

世界王者となったロハスは、精力的に防衛戦を重ねました。1994年3月19日には、日本の神戸で浅川誠二氏を相手に初防衛戦を行い、5ラウンドTKOという鮮やかな勝利を収めています。さらに、1995年5月27日には、かつて敗れ、そして王座を奪取した朴永均氏と三度対戦。このライバル対決でも12ラウンド判定勝ちを収め、チャンピオンとしての貫禄を見せつけました。同年8月13日には、福岡の地で平仲信敏氏との対戦が組まれます。この試合ではダウンを奪われる苦しい展開となりましたが、最終的には粘り強く戦い抜き、12ラウンド判定で勝利を掴み取りました。これらの激戦を含む、合計6度の防衛に成功し、フェザー級の一時代を築き上げました。

しかし、栄光の時間は永遠ではありませんでした。1996年5月18日に行われた7度目の防衛戦で、元世界2階級王者の強豪ウィルフレド・バスケス氏（プエルトリコ）と対戦。激しい打撃戦の末、11ラウンドTKOで敗れ、王座から陥落しました。これはロハスにとってキャリア初のKO負けであり、大きなダメージとなりました。この敗戦後、彼は約3年間リングから遠ざかることになります。

長いブランクを経て復帰を果たしたロハスは、スーパーライト級に階級を上げて再起を図りました。2004年3月19日にはWBCカリビアンスーパーライト級王座を獲得するなど、再びベルトを巻くことに成功しましたが、その後のWBA中米ライト級王座やNABF北米スーパーライト級王座への挑戦はいずれも実を結びませんでした。そして、2005年、プロキャリアに終止符を打ち、惜しまれながらグローブを置きました。

WBA世界フェザー級王座を6度防衛した実績は、エロイ・ロハスがボクシング史において確固たる地位を占めることを証明しています。彼の粘り強いファイトスタイルと、強豪相手に臆することなく立ち向かう姿は、多くのボクシングファンに記憶されています。

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