エンサイマダ

エンサイマダとは

エンサイマダは、スペインのマヨルカ島発祥の菓子パンで、その独特な形状から「渦巻パン」や「caracola（海貝）」とも呼ばれます。マヨルカ島を訪れる観光客にとって、定番のお土産としても知られています。このパンは、マヨルカ島から遠く離れたフィリピンにも伝わり、独自の進化を遂げ、現地の食文化に深く根付いています。

スペインにおけるエンサイマダ

スペインのジャーナリスト、ジュゼップ・プラはエンサイマダを「この国で最も軽く、優雅で、繊細なペイストリー」と絶賛しました。その名称はアラビア語に由来し、直訳すると「豚のラードをかけたもの」という意味になります。これは、パン生地にラードを混ぜることで、独特のサクサクとした食感を生み出していることに由来します。

エンサイマダは、渦巻き状の形をしており、表面には粉砂糖がたっぷりとかけられています。味のバリエーションも豊富で、チョコレート、ホワイトチョコレート、カスタードなど様々な種類があります。サイズも様々で、一人で食べるのにちょうど良いものから、ピザのように大きなものまであります。

エンサイマダに関する最古の記述は、17世紀にルートヴィヒ・ザルヴァトール大公によって書かれた『Die Balearen』という著作に見られます。この文献に記載されているレシピや製法は、現代のものとほぼ変わりません。このことからも、エンサイマダが長い歴史を持つ伝統的なパンであることがわかります。

日本では、かつてヤマザキパンがエンサイマダを製品化し、市販していたことがあります。ただし、その際にはラードの代わりにマーガリンが使用されていました。

フィリピンにおけるエンサイマダ

フィリピンでは、エンサイマダ（英語表記：ensaymada）が非常に人気のある菓子パンとして親しまれています。フィリピンのエンサイマダは、ブリオッシュ風のパン生地にチーズとグラニュー糖をトッピングしたものが一般的です。

このフィリピンのエンサイマダは、スペイン人がマヨルカ島のエンサイマダをフィリピンに持ち込んだことが始まりです。その後、フィリピン人の嗜好や現地の気候風土に合わせて、独自の進化を遂げました。その結果、フィリピンのエンサイマダは、マヨルカ島のオリジナルとは異なる、独自の風味と食感を持つようになりました。

現在、フィリピンではスターバックスなどのコーヒーチェーン店や、ベーカリー、スーパーマーケットなどで、このエンサイマダが手軽に購入できます。日常的に親しまれているパンの一つと言えるでしょう。

まとめ

エンサイマダは、スペインのマヨルカ島から生まれた伝統的な菓子パンであり、そのユニークな形状と食感で多くの人々を魅了してきました。また、遠く離れたフィリピンでも、現地の食文化に合わせて独自の発展を遂げ、広く愛されています。エンサイマダは、その歴史と多様性において、非常に興味深いパンの一つであると言えるでしょう。

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