エンパイア・ステート・ビルディング

エンパイア・ステート・ビルディングは、アメリカ合衆国ニューヨーク州のマンハッタン区に位置する、歴史的かつ象徴的な超高層ビルです。その名前はニューヨーク州の愛称に由来し、州内外から多くの訪問者を惹きつけています。

歴史

この建物は、建築家リッチモンド・H・シュリーブ、ウィリアム・F・ラム、アーサー・L・ハーモンの協力によって設計され、1931年に完成しました。ウォルドルフ＝アストリアの跡地に立地し、当時の流行であったアール・デコスタイルが採用されています。建設作業は当時のニューヨーク州知事、アル・スミスの指導のもと、急ピッチで進められました。クライスラー・ビルディングから「世界一の高さ」を奪うため、工事は短期間で進められ、多くの人々に支持されました。しかし、世界恐慌の影響を受け、1940年代まで空室が多い状況が続き、「エンプティー・ステート・ビルディング」と揶揄されることもありました。しかし、その後観光名所としての地位を確立し、1972年まで世界一の高層ビルとして認識され続けました。

1986年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定され、さらに多くの人々に愛される存在となりました。2001年の9・11テロ事件では、ワールドトレードセンターが崩壊したことにより、再びニューヨークの最高峰としての地位を取り戻しました。その後、同じ場所に建設された1ワールドトレードセンターにフロア高で追い抜かれるまで、長い間その座を維持していました。

施設と構造

エンパイア・ステート・ビルディングの総床面積は20万4,385平方メートル、質量は約33万トンにも及びます。ビル内には6,500個の窓、73基のエレベーター、1,860個の階段が備わっており、利用者の利便性を考慮した設計です。特に102階の展望台は、高さ373.2メートルに位置し、訪問者はニューヨークの絶景を楽しむことができます。時折行われる光の演出やイルミネーションは非常に話題で、多くの人々がその美しさを堪能しに訪れます。

展望台

ビルの86階には屋外展望台があり、これまでに1億1千万人以上の訪問者が足を運んでいます。86階の展望台からは地上の美しい景色を360度見渡すことができ、特に晴れた日は素晴らしい景観を楽しむことができます。一方で102階の展望台は1999年に一時閉鎖されましたが、2005年に再オープンしました。混雑時には入場を制限されることもありますが、近年はリニューアルされたことでより多くの訪問者が楽しめるようになっています。さらに特別料金を支払えば、行列をスキップして入場することも可能です。

ライトアップとイベント

このビルは特別な日やイベントに合わせて多彩なライトアップが行われ、訪れる人々を魅了します。例えば、ユニセフ設立70周年や聖パトリックデーなど、さまざまな国際的イベントにちなんだ色彩が施されます。また、環境保護の観点からアースアワーでは消灯されることもあり、地域の人々との結びつきも感じられます。さらに、毎年開催される展望台までのレースも人気で、多くの参加者が熱い競技を繰り広げます。

事件の記録

エンパイア・ステート・ビルは多くの歴史的出来事の証人でもあります。1945年にはB-25爆撃機の衝突事故が発生し、戦後の安全対策強化に寄与しました。また、1963年の火災や1997年の無差別発砲事件も記録されています。いずれの事件も、ビルの構造や安全対策に改善の必要性を示すものでした。

エンパイア・ステート・ビルディング