エンリコ・チャルディーニ

エンリコ・チャルディーニの生涯と業績

エンリコ・チャルディーニ（1811年8月8日 - 1892年9月8日）は、イタリア統一運動における重要な軍人および政治家です。彼は第一次から第三次イタリア独立戦争に参戦し、特にサルデーニャ軍の指揮官として数々の戦闘で勝利を収めました。その名はリソルジメント史の中で深く刻まれています。

幼少期と青年期

チャルディーニはモデナ＝レッジョ公国のカステルヴェトロ・ディ・モーデナで生まれ、幼少期はレッジョ・エミリアで過ごしました。医師を志して医学を学ぶも、1831年に中部イタリア革命が勃発し、彼はフランスとポルトガルに亡命。その後、軍人の道を歩み始めます。スペインに渡り、カリスタ戦争に参加した経験が後の彼の指導力の基盤となります。

イタリア統一活動

1845年頃に結婚した後、イタリアに戻ったチャルディーニは、第一次イタリア独立戦争でサルデーニャ軍に加わりました。彼は戦闘の指揮を執り、重要な合戦に関与しましたが、ノヴァーラの戦いでの敗北後も軍に残り、クリミア戦争に参加しました。第二次イタリア独立戦争では、カステルフィダルドの戦いやアンコーナ包囲戦で勝利を収める中で、その名声は高まり、陸軍大将に昇進します。

チャルディーニは南イタリアの征服にも関与し、両シチリア王国軍を破り、ガエータ攻略で重要な役割を果たしました。その功績により、彼はガエータ公に叙任され、称えられました。

統一後の軍事活動と評価の変化

イタリア統一後、チャルディーニはブリガンテと呼ばれる南イタリアの抵抗勢力に対して厳しい弾圧を行いました。この行動により南部住民に対する彼の評価は分かれ、特にポンテランドルフォとカザルドゥーニの事件では多くの一般市民が犠牲になりました。彼の行動は21世紀に入ってから、彼への評価に対する再検証を促し、批判が高まっています。

アスプロモンテの戦いでは、ガリバルディとの衝突を指揮し、意見の対立が見られました。彼の軍事的な成果は認められる一方で、その弾圧的な手法には今なお議論を起こします。

政治・外交活動と晩年

晩年には、政治家としても活動を続け、国会議員に選出され、さらに上院議員に任命されました。1869年にはスペインの特使として外交活動を開始し、アマデオ1世の即位に尽力します。しかし、1881年に政界を引退し、1892年にリヴォルノで死亡しました。

評価の揺らぎと現代における位置付け

20世紀後半まで、チャルディーニはイタリア統一の英雄として称えられていましたが、南イタリア側からの視点が無視されていたことから、評価の見直しが進んでいます。彼に因んだ場所の名前や功績が見直され、一部の地域では名称の削除や修正が行われています。

チャルディーニはリソルジメントの象徴でもあり、彼の業績と評価の変遷は、イタリアの歴史における重要な一幕を成しています。彼の行動には賛否があり、現在でも多くの議論を呼んでいる人物です。

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