オウバイ

オウバイ（黄梅）とは

オウバイ（黄梅、学名: Jasminum nudiflorum）は、モクセイ科ソケイ属に分類される半つる性の落葉低木です。漢字では「黄梅」と書き、その名の通り黄色い花を咲かせますが、ソケイ（ジャスミン）のような強い香りはありません。種小名のnudiflorumは「裸の花」を意味し、これは花に毛がないことに由来します。

中国では「迎春花」、英語では「ウィンター・ジャスミン」と呼ばれ、どちらも他の花に先駆けて咲くことから、春の訪れを告げる花として親しまれています。

特徴

オウバイは、高さ1〜2メートルほどの落葉性広葉樹の小低木です。樹皮は灰褐色で、太くなるとひび割れます。枝は緑色または灰褐色で四角い稜があり、細長く伸びてつる状に垂れ下がり、地面についた場所から根を出すことがあります。

花期は早春で、2月下旬から4月頃にかけて、葉が出る前に梅の花に似た六枚花弁の黄色い花を咲かせます。花は細長いツル状の枝に垂れ下がるように咲き、その姿は春の訪れを感じさせます。日本では、初春の季語として親しまれています。

オウバイは実をつけないため、挿し木や株分けで増やします。冬芽は長楕円形で、紅紫色と緑色が混じった多数の芽鱗に覆われています。枝先は発達しないことが多く、側芽が枝に対生します。葉痕は半円形で、維管束痕は1つです。

薬用としての利用

オウバイの花は、解熱や利尿作用があるとされ、生薬としても利用されています。乾燥した花を煎じて飲むことで、利尿効果が期待できるとされています。また、葉も同様に、飲むか塗布することで、できものや腫れ物、打ち傷や切り傷の治療に用いられると伝えられています。

オウバイモドキとの区別

オウバイとよく似た植物に、オウバイモドキ（ウンナンオウバイ、学名: Jasminum mesnyi）がありますが、オウバイモドキは常緑性であることが大きな違いです。

分布と生育地

オウバイは、中国の北部から中部が原産です。日本へは江戸時代初期に渡来したと考えられており、庭の石垣などに植えられています。

文化

オウバイの中国名「迎春花」は、映画のタイトルにもなっています。1942年には、佐々木康監督、李香蘭主演の「迎春花」が制作されました。また、歌謡曲にも登場し、服部富子が歌った「満洲娘」では、「迎春花が咲いたなら、お嫁に行きます」という歌詞があります。

まとめ

オウバイは、早春に美しい黄色い花を咲かせるだけでなく、薬用としての利用や文化的な側面も持つ魅力的な植物です。庭木として親しまれ、春の訪れを告げる存在として、多くの人々に愛されています。

参考文献

鈴木庸夫、高橋冬、安延尚文『樹皮と冬芽 四季を通じて樹木を観察する431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日。ISBN 978-4-416-61438-9。
茂木透 写真『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』高橋秀男、勝山輝男 監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2001年7月。ISBN 4-635-07005-0。

外部リンク

きごさい時記「黄梅」（NPO法人季語と歳時記の会）
オウバイとは│ヤサシイエンゲイ（京都けえ園芸企画舎）
オウバイ│植物図鑑ＤＢ『植物こぼれ話』（日本新薬）
オウバイ｜薬用植物一覧表（イー薬草・ドット・コム）
"Jasminum nudiflorum Lindl" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2012年1月6日閲覧。
"Jasminum nudiflorum". National Center for Biotechnology Information（NCBI） (英語).
"Jasminum nudiflorum" - Encyclopedia of Life (英語)
波田善夫. “オウバイ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学. 2012年1月6日閲覧。
青木繁伸 (2003年5月11日). “オウバイ（黄梅）”. Botanical Garden. 群馬大学社会情報学部. 2012年1月6日閲覧。
山本純士. “黄梅 （オウバイ）”. 季節の花 ３００. 2012年1月6日閲覧。

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