オオハシバト

オオハシバト (Didunculus strigirostris)

オオハシバトは、ハト目ハト科に分類される鳥類で、オオハシバト属を構成する唯一の種です。その特徴的な太い嘴から「大嘴鳩」とも呼ばれています。

分布

オオハシバトは、サモアのウポル島とサバイイ島にのみ生息しています。この限られた地域にのみ分布していることが、この種が絶滅の危機に瀕している要因の一つとなっています。

形態

全長は31〜38cmで、頭部から頸部、下面にかけては光沢のある緑黒色をしています。背、翼、尾羽は赤褐色で、このコントラストが美しい鳥です。目の周りには羽毛がなく、赤い皮膚が裸出しています。虹彩は褐色です。

最も特徴的なのは、その太い嘴です。上嘴の先端は鉤状に尖っており、下嘴には2つの切れ込みと3つの突起があります。この独特な形状の嘴は黄色で、基部は赤色をしています。後肢は長く、赤色をしています。

幼鳥は体上面の羽衣や雨覆が黒く、羽毛の外縁が赤褐色をしています。また、幼鳥の嘴は黒ずんでいます。

生態

オオハシバトは標高300〜1,400mの熱帯雨林やその林縁に生息しています。主にニガカシュウやバナナなどの果実、マホガニーなどの種子を食べています。これらの食物は主に樹上で採食されます。

繁殖様式は卵生です。かつては地表に皿状の巣を作っていましたが、外来種による捕食を避けるため、樹上に巣を作るようになりました。この変化は、オオハシバトが環境の変化に適応するために進化した結果と言えるでしょう。

人間との関係

オオハシバトは、森林伐採による生息地の破壊、狩猟、そして人為的に移入されたネコやネズミによる捕食など、様々な要因によって生息数が激減しています。1990年から1991年にかけて発生した大規模なサイクロンは、彼らの生息地を大きく破壊しました。

現在、オオハシバトは法的に保護対象とされており、サモアでは自然保護のシンボルとして選ばれています。1980年代半ばには4,800〜7,200羽が生息していると推定されていましたが、1990年代の大規模なサイクロンにより、その数は2,500羽未満にまで激減したと推定されています。この状況から、オオハシバトは絶滅の危機に瀕していると言えるでしょう。

参考文献

黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科8 鳥類II』、平凡社、1986年、65頁。

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