ウポル島

ウポル島：サモアの心臓

南太平洋に位置するサモア独立国の主要な島、ウポル島は、海底火山活動によって生まれた玄武岩質の島です。東西に約75kmと細長く伸びるこの島は、面積1,125平方kmを誇り、サモアの人口の大部分が暮らしています。

地理と特徴

ウポル島の西端にはファレオロ国際空港があり、首都アピアは島の北部に位置しています。隣接するサバイイ島とは異なり、ウポル島では過去の火山爆発の記録は残されていません。島の中心部には火口湖であるラノトオ湖があり、その周辺はラノトオ湖国立公園として保護されています。この公園からは、ヴァイシガノ川とフルアソウ川が流れ出ており、特にフルアソウ川は首都アピアの重要な水源となっています。

南部のオ・レ・ププ・プエ国立公園は、南太平洋地域で最初に設立された国立公園です。フィト山から南海岸の断崖まで広がるこの公園は、多様な生態系を育んでいます。

豊かな生態系

島全体を覆う熱帯林は、絶滅危惧種を含む多様な鳥類の生息地となっています。オオハシバトやハシグロオオミツスイといった希少な鳥に加え、サモアカラスモドキ、キビタイモズヒタキ、サモアヒラハシ、サモアナキサンショウクイなどの固有種も確認されています。また、固有種のヤシであるClinostigma samoenseも、この島で見ることができます。

東部のヴァイプ沼一帯は、サモア国内最大の沼地林と低地雨林が広がり、オオハシバトの生息地として知られています。また、固有種のカタツムリであるEua expansa、Samoana conica、Succinea putamen、そしてタイヘイヨウクルミやPandanus turritusなどの植物もこの地域に生息しています。

ラノトオ湖国立公園、オ・レ・ププ・プエ国立公園、そしてヴァイプ沼保護区は、ラムサール条約登録地として国際的にも重要な湿地として保護されています。

歴史

18世紀後半から19世紀前半にかけて、ウポル島はOjalavaやOjolavaという名で知られていました。19世紀後半には、小説家のロバート・ルイス・スティーヴンソンがこの島に400エーカーの農園を所有し、1894年に当地で亡くなっています。

自然災害と復興

2009年9月には、アピア南方約195kmを震源とするマグニチュード8.0の地震が発生し、それに伴う津波がウポル島南東部を襲いました。約10mの津波により村々は壊滅的な被害を受け、多くの犠牲者が出ました。

国際協力

昭和40年代後半からは、国際協力事業団（JICA）傘下の青年海外協力隊による支援が続けられています。特に、アウトボードエンジンを用いた珊瑚礁外でのマグロやカツオ漁の技術指導は、島民の生活を支える重要な取り組みとなっています。

ウポル島は、その美しい自然と歴史、そして度重なる自然災害にも負けずに復興を遂げる人々の姿を通して、私たちに多くのことを教えてくれます。この島が持つ豊かな自然と文化が、未来へと受け継がれていくことを願います。

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