オオバタチツボスミレ

オオバタチツボスミレ（Viola langsdorfii subsp. sachalinensis）

オオバタチツボスミレはスミレ科に属し、その学名はViola langsdorfii subsp. sachalinensisです。この植物は日本の知床半島に特有の亜種で、基本種はタカネタチツボスミレ（V. langsdorfii）です。特筆すべきは、一部の専門家がこの亜種を独立種、すなわちV. kamtchadalorumとして扱っている点です。

特徴

オオバタチツボスミレは多年草で、有茎の種になります。通常、直立した茎は30cmから40cmに達し、全体が無毛です。土の中には太くて分枝する地下茎があり、横に這うことができます。また、根出葉は一般的に少数存在し、長い葉柄を持ち、時には花の時期に枯れてしまうこともあります。茎の上部には3から4枚の葉があり、葉のサイズは長さ3cmから7cm、幅4cmから8cmで、心形または三角状心形です。先端は鈍頭または少しとがり、基部は心形をしており、周囲には波状の鋸歯があります。葉質は柔らかく、表面は濃い緑色、裏面は淡い緑色です。葉柄の基部には大型の托葉があり、卵形で、長さは10mmから20mmに達します。

夏にかけて葉はさらに成長し、直径30cmに達することもあります。

花の開花期は5月から8月までで、茎の葉腋から花柄が伸び、花の直径は2cmから3cmです。この花は濃紫色から淡青紫色まで様々で、日本のスミレ属の中でも一際大きいものです。花弁は5枚あり、15mmから20mmの長さを持ち、全ての花弁には紫色の筋があります。側弁の基部は毛むくじゃらで、唇弁の距は短く、先端が嚢状になっています。萼片は楕円形から広披針形で、反対側には四角い付属体があります。雄蕊の数は5本あり、花柱はカマキリの頭のような形状です。その染色体数は2n=96です。

分布と生育環境

この植物は本州の中部地方以北および北海道に分布し、湿原や湿った草地、海辺の草原、さらには湿った夏緑樹林の下で自生しています。特に本州では亜高山の湿地帯でよく見られます。また、世界的には千島列島、サハリン、カムチャツカ半島に分布しています。

名前の由来

オオバタチツボスミレという和名は「大葉立坪菫」が語源で、葉の大きさにちなんでいます。しかしながら、門田裕一博士は本種をタチツボスミレ節ではなく、オオバタチツボスミレ節に分類しています。種小名の「langsdorfii」は「ラングスドルフの」と解釈され、亜種名の「sachalinensis」は「サハリンの」を意味します。

保全状況

オオバタチツボスミレは準絶滅危惧に分類されており、2019年に環境省のレッドリストにも登録されています。

このようにオオバタチツボスミレは大変魅力的な植物であり、貴重な生育環境を保護するためにもその存在意義は非常に大きいと言えます。

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