オオバボダイジュ

オオバボダイジュ（大葉菩提樹）

オオバボダイジュ（学名: Tilia maximowicziana）は、アオイ科シナノキ属に分類される落葉高木です。日本の山地に自生し、その美しい樹姿と多様な用途で人々に親しまれています。

分布と生育環境

オオバボダイジュは、北海道から本州の東北地方、北陸地方、関東地方北部に分布しています。山地の落葉樹林内で生育し、豊かな自然環境を象徴する樹木の一つです。

特徴

樹高: 通常6〜8m程度ですが、大きいものでは25mに達することもあります。
樹形: 独立して生育した場合は、整った卵形の樹形となります。
樹皮: 若い樹木の樹皮は暗灰色から帯紫暗灰色で滑らかですが、老木になると浅く縦に割れます。
枝: 若い枝には淡黄褐色の星状毛が密生しています。
葉: 葉は互生し、長さ4.5〜7cmの葉柄には灰白色の星状毛が密生します。葉身は長さ7〜13cm、幅6〜11cmの歪んだ円形で、縁には尖った鋸歯があります。葉の裏面は灰白色で、柔らかい星状毛が密生しています。
花: 6〜7月に開花し、葉柄の基部から長さ6〜10cmの集散花序を垂らし、淡黄色の花を10数個つけます。花序には狭長楕円形の総苞葉が合着します。
果実: 10月頃に球状または楕円形の堅果が熟します。果実には5個の稜があり、灰白色の短い軟毛が密生しています。
冬芽: いびつな楕円形で、淡黄褐色の星状毛があります。

利用

オオバボダイジュは、その美しい樹形から公園樹として植栽されることがあります。また、樹皮の繊維は縄や布、和紙の原料として利用されてきました。材は建築材や器具材としても用いられます。

羽越しな布

山形県鶴岡市関川や新潟県村上市で作られる伝統織物である羽越しな布は、シナノキ属の植物の靭皮繊維から作られます。特にオオバボダイジュの繊維は、丈夫でしなやかな布を織るのに適しており、羽越しな布は経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されています。

下位分類

オオバボダイジュには、いくつかの変種や交雑種が存在します。

モイワボダイジュ (Tilia maximowicziana var. yesoana)
基本種よりも葉が大きく、葉質が薄く、裏面の毛が少ないのが特徴です。北海道や本州の東北地方に分布します。
ノジリボダイジュ (Tilia × noziricola)
シナノキとオオバボダイジュの交雑種と考えられています。葉の大きさや形状が中間的で、果実には長い軟毛が密生しています。長野県や新潟県で見られます。

オオバボダイジュは、日本の自然と文化に深く根ざした樹木であり、その多様な側面は私たちの生活を豊かにしています。

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