オクトパス・ガーデン

オクトパス・ガーデン (Octopus's Garden)

「オクトパス・ガーデン」は、ビートルズが1969年に発表したアルバム『アビイ・ロード』に収録された楽曲です。リンゴ・スターが作詞作曲を手掛け、ジョージ・ハリスンが作曲面で協力しました。この曲は、リンゴにとって「ドント・パス・ミー・バイ」に続く2作目のオリジナル曲であり、彼がビートルズ時代にリード・ボーカルを務めた最後の楽曲となりました。

誕生の背景

歌詞のインスピレーションは、リンゴが1968年にサルデーニャ島で休暇を過ごしていた際に、ピーター・セラーズから聞いた話に由来します。昼食にイカ料理が出された際、セラーズはタコが海底で光る石やブリキ、ビンなどを集めて自分の住む洞窟の前に飾る習性について語りました。この話がリンゴの創作意欲を刺激し、楽曲の原案が生まれたのです。

1969年1月から始まったゲット・バック・セッションに向けて、リンゴは本作の他に「テイキング・ア・トリップ・トゥ・キャロライナ」「ピカソ」という3曲のスケッチを提出しました。1月26日のセッションでは、ジョージ、グリン・ジョンズ、ジョージ・マーティンの3人に完成していた楽曲の一部を披露。ジョージは曲を気に入り、アコースティック・ギターで伴奏しながら様々な提案をしました。リンゴはジョージの協力について、「ヴァースとサビは問題なかったが、自分だけでは完成させられなかった。ジョージが仕上げてくれた。自分は3つのコードしか弾けなかったが、ジョージがコードを加えることで曲が豊かになった」と語っています。この時の様子は、映画『レット・イット・ビー』にも収録されています。

レコーディング

「オクトパス・ガーデン」のレコーディングは、1969年4月26日にEMIレコーディング・スタジオで行われました。ポール・マッカートニーのベース、リンゴのドラム、ジョージのリードギター、ジョン・レノンのリズムギター、そしてリンゴのボーカルが録音されました。この日、歌詞は完成していましたが、テイク23では歌詞の一部が変更されています。最終的にテイク32がオーバー・ダビング用のマスターとして採用されました。

4月29日には、リンゴのリード・ボーカルがダブルトラックになり、ポールのピアノが追加されました。その後、4種類のステレオ・ミックスが作成されました。7月17日には、コンプレッサーやリミッター処理が施されたコーラスや、「イエロー・サブマリン」でも使用された、コップの水をストローで泡立てる効果音が加えられました。

最終段階では、ポールのベース、リンゴのドラム、効果音、ピアノの低音部、タムタム、バッキング・ボーカル、追加のバッキング・ボーカル、オーバー・ダビングされたリードギター、ピアノとリードギター、リズムギターが収録されました。楽曲完成後には、試験的に7種類のモノラル・ミックスが作成されましたが、いずれも未発表となっています。

リリースと評価

「オクトパス・ガーデン」は、『アビイ・ロード』のA面5曲目に収録され、その後、『ザ・[[ビートルズ1967年〜1970年]]』などのコンピレーション・アルバムにも収録されました。

オールミュージックのトーマス・ワードは、この曲を「カントリー・スタイルで書かれた、明らかに馬鹿げた曲だが、それは意図的なもので、気取らない魅力がある。リンゴ・スターが書いた最高の曲だ」と評価しています。

1996年には、『ザ・[[ビートルズ・アンソロジー]]3』に1969年4月26日に録音されたテイク2が収録されました。2006年には、アルバム『LOVE』にリミックスされた音源が収録され、2019年には、『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』にテイク9が収録されました。

参加ミュージシャン

リンゴ・スター - リード・ボーカル、ドラム、パーカッション、効果音
ジョン・レノン - リズムギター
ポール・マッカートニー - ベース、ピアノ、バッキング・ボーカル
ジョージ・ハリスン - リードギター、バッキング・ボーカル

「オクトパス・ガーデン」は、リンゴ・スターのユニークな才能と、ビートルズのメンバーの創造性が融合した、愛すべき楽曲として今もなお多くの人々に親しまれています。

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