オジュウチョウサン

オジュウチョウサン：障害競走の絶対王者

オジュウチョウサン(2011年生まれ)は、日本の競走馬・種牡馬として、障害競走の歴史に名を刻んだ伝説的な存在です。類まれな才能と強靭な精神力で、数々の記録を塗り替え、日本の競馬界に大きなインパクトを与えました。

華麗なるデビュー前と初期の歩み

北海道平取町の坂東牧場で誕生したオジュウチョウサン。馬主である株式会社チョウサン代表の長山尚義氏の次男が幼少期に「俺」を「オジュウオジュウ」と言っていたことが、その名の由来となっています。全兄にはラジオNIKKEI賞優勝馬のケイアイチョウサンがいます。2013年10月、小笠倫弘厩舎からデビューを果たしましたが、11着という結果に終わります。その後、未勝利戦でも8着と振るわず、転機となる障害競走への転向を決定。しかし、障害初戦では最下位となる14着と苦戦を強いられ、和田正一郎厩舎に移籍します。

転厩後、地道な努力を重ね、2015年2月、障害4歳以上未勝利戦で初勝利を掴みます。その後も障害オープンを連勝し、障害重賞への挑戦を開始。東京ジャンプステークスでは4着と健闘しますが、鞍上は石神深一騎手に交代することとなります。年末の中山大障害では6着という結果に終わるものの、着実に力をつけていました。2014年から2015年にかけての10戦3勝という成績は、後の活躍を予感させるものでした。

絶対王者への階段

2016年、オジュウチョウサンは飛躍の年を迎えます。石神騎手のアドバイスでメンコの耳当てを外したことで、周囲の音への感度が向上し、集中力も増したのです。中山グランドジャンプでは、単勝6.5倍の2番人気ながら、1番人気を大きく引き離し、JGI初制覇を成し遂げます。この勝利は和田調教師、石神騎手にとっても初のJGI制覇となりました。続く東京ジャンプステークスも制し、重賞2勝目を挙げます。東京ハイジャンプでは、他馬の逸走というアクシデントに見舞われながらも、見事なリカバリーで勝利し、重賞3連勝を達成しました。そして年末の中山大障害でも圧勝し、JGI春秋連覇を達成しました。この年の5戦4勝、重賞4連勝という活躍により、JRA賞最優秀障害馬に満票で選出されました。

圧倒的な強さ

2017年は、阪神スプリングジャンプから始動し、ライバルのアップトゥデイトを下し、重賞3連勝、前年からの連勝記録を8に伸ばします。中山グランドジャンプでは、単勝1.3倍の一番人気に応え、見事2連覇を達成しました。その後、右第1指骨剥離骨折に見舞われましたが、順調に回復し、東京ハイジャンプで復帰戦を勝利で飾ります。中山大障害では、アップトゥデイトとの激闘を制し、JRA史上最も高い観客動員数を記録したレースで勝利を収めました。このレースで記録された4分36秒1という走破タイムは、26年間保持されていたレースレコードを更新するものでした。2年連続のJRA賞最優秀障害馬受賞は、オジュウチョウサンの圧倒的な強さを証明するものとなりました。

2018年には、中山グランドジャンプで3連覇を達成。この勝利で、JGI最多勝記録を更新するなど、数々の記録を更新しました。そして、平地競走への挑戦を決め、福島[[競馬場]]で行われた開成山特別で平地初勝利を挙げ、10連勝を達成します。その後、有馬記念への挑戦を表明し、ファン投票で3位にランクインするなど、大きな注目を集めました。有馬記念では9着と健闘しましたが、平地G1初挑戦としては上々の結果となりました。

伝説の記録と引退

2019年は、阪神スプリングジャンプで復帰し、中山グランドジャンプでは史上初のJRA同一重賞4連覇を達成。2020年には、中山グランドジャンプで5連覇という前人未到の偉業を達成しました。しかし、2021年の秋には、左前第1指骨の剥離骨折が判明し、休養を余儀なくされます。その後復帰し、中山大障害で優勝するも、2022年の中山大障害を最後に引退しました。

オジュウチョウサンは、JRA障害GI競走9勝、JRA障害重賞競走15勝、JRA重賞競走15勝など、数々の記録を保持しています。その圧倒的な強さと人気は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続けました。障害競走の歴史に、そして日本の競馬史に、永遠にその名を刻む偉大な名馬です。

記録

JRA障害GI競走勝利数：1位(9勝)
JRA障害重賞競走勝利数：1位(15勝)
JRA重賞競走勝利数：1位(15勝)
中山グランドジャンプ最速タイム：4分43秒0
中山大障害最速タイム：4分36秒1
JRA同一重賞最多連覇：5連覇(中山グランドジャンプ)
* JRA賞最優秀障害馬：5回受賞

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