石神深一

石神 深一：障害競走のレジェンド、そして200勝達成

石神深一騎手は、1982年生まれのJRA美浦トレーニングセンター所属の騎手です。元JRA騎手である石神富士雄氏を父に持ち、幼少期から乗馬に親しんで育ちました。2001年、競馬学校卒業と同時に騎手デビューを果たし、華々しいスタートを切ります。デビューから4年間は毎年2桁勝利を挙げるなど順調な滑り出しを見せました。

しかし、2005年、飲酒運転による逮捕という大きな挫折を経験します。この事件により、4ヶ月の騎乗停止処分を受けました。その後も、落馬による怪我や所属厩舎の解散など、数々の困難に見舞われます。勝利数、騎乗数ともに減少の一途を辿り、将来に不安を抱える時期もありました。

転機となったのは、障害競走への挑戦でした。2007年から障害競走にも騎乗を始め、徐々に頭角を現し始めます。そして2013年、アサティスボーイに騎乗し、新潟ジャンプステークスを制覇。念願の重賞初勝利を飾ります。

真の飛躍は2016年、オジュウチョウサンとのコンビで中山グランドジャンプを制し、JRA・GI初制覇を成し遂げます。この勝利は、デビューから16年という歳月を経て掴んだ、大きな成果でした。オジュウチョウサンとのコンビはその後も活躍を続け、東京ジャンプステークス、東京ハイジャンプ、中山大障害と連勝。この活躍により、同年のJRA賞最多勝利障害騎手を獲得しました。

2017年もオジュウチョウサンとのコンビで活躍を続け、2年連続でJRA賞最多勝利障害騎手を受賞。2022年には、京都ハイジャンプをタガノエスプレッソで制し、JRA障害重賞22勝目を達成。白浜雄造氏の記録を更新し、歴代最多勝利を記録しました。さらに同年には、小倉サマージャンプをアサクサゲンキで制し、高田潤氏、森一馬氏に次ぐ史上3人目の障害重賞全6場制覇、そして史上初のJRA障害重賞完全制覇という偉業を達成しました。

石神騎手の活躍は、通常障害の重賞級競走が行われない中京競馬場においても例外ではありません。2021年の阪神ジャンプステークスでトゥルボーに騎乗し優勝しており、代替開催を含めた重賞全7場完全制覇という前人未到の記録も樹立しています。

2023年には落馬事故で頸椎と胸椎の骨折を負うというアクシデントに見舞われますが、約1ヶ月後の3月にレースに復帰。年間14勝を挙げ、JRA賞最多勝利障害騎手賞を受賞しました。

そして2024年3月10日、中山競馬場4レースの障害競走でブリエヴェールに騎乗し、見事勝利。デビューから3868戦目にして、JRA通算200勝という大きな節目を達成しました。さらに4月20日には、福島競馬場で行われた浄土平特別で平地競走を制し、約11年ぶりの平地勝利を収めました。

石神騎手は、数々の困難を乗り越え、障害競走界のレジェンドとして名を刻みつつ、平地競走でも活躍を続ける、類まれな才能を持つ騎手です。漫画『LIAR GAME』の主人公の一人、秋山深一の名前の由来にもなっているというエピソードも興味深いですね。 彼の今後の活躍にも期待しましょう。

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