オスマン・ペルシア戦争

オスマン・ペルシア戦争

オスマン・ペルシア戦争は、16世紀から19世紀にかけて、オスマン帝国とペルシア（現在のイラン）を支配した複数の王朝（サファヴィー朝、アフシャール朝、ザンド朝、ガージャール朝）との間で繰り広げられた一連の戦争を指します。

背景

15世紀、オスマン帝国はアナトリア（現在のトルコ）地域における支配を確立し、強大な国家として台頭しました。一方、ペルシアでは、イスマーイール1世によってサファヴィー朝が成立し、シーア派を国教としました。オスマン帝国はスンニ派を奉じており、宗教的な対立が両国の関係に影を落とすことになりました。また、アナトリア、コーカサス、イラクといった地域は、両国にとって戦略的に重要な地域であり、その支配を巡って激しい争いが繰り広げられました。

主な紛争と展開

オスマン・ペルシア戦争は、単一の戦争ではなく、数世紀にわたる一連の紛争の総称です。以下に主な紛争を挙げます。

16世紀: サファヴィー朝の成立後、両国間の緊張が高まり、領土紛争が頻発しました。特に、イラクの支配を巡る争いは激化し、バグダードなどの主要都市が戦場となりました。
17世紀: 一時的に和平が成立することもありましたが、コーカサス地方の支配を巡る争いが再燃しました。オスマン帝国は、サファヴィー朝の勢力拡大を阻止しようと試みましたが、決定的な勝利を得ることはできませんでした。
18世紀: サファヴィー朝が衰退し、アフシャール朝が成立すると、オスマン帝国は新たな対立勢力との戦いを強いられました。アフシャール朝のナーディル・シャーは、オスマン帝国に対して攻勢を仕掛け、一時的にイラクを占領するなど、大きな戦果を挙げました。
19世紀: ガージャール朝の時代に入ると、オスマン帝国はヨーロッパ列強の圧力にさらされ、ペルシアとの戦争も膠着状態に陥りました。最終的に、両国は国境線を確定し、長きにわたる紛争に終止符を打ちました。

影響

オスマン・ペルシア戦争は、両国だけでなく、周辺地域にも大きな影響を与えました。戦争によって、多くの都市や村が破壊され、住民は苦難を強いられました。また、宗教的な対立は、両国間の人々の間に深い溝を作り、その後の関係にも影響を与えました。さらに、オスマン・ペルシア戦争は、ヨーロッパ列強が中東地域に進出するきっかけとなり、その後の歴史に大きな影響を与えることになりました。

関連項目

オスマン帝国とサファヴィー朝の関係
ハプスブルク・ペルシャ同盟
フランス・オスマン同盟
en:Ottoman–Hotaki War (1726–1727)
ペルシャ戦線 (第一次世界大戦)
ロシア・ペルシャ戦争
露土戦争
バグダードの戦い (曖昧さ回避)

出典

Yves Bomati and Houchang Nahavandi,Shah Abbas, Emperor of Persia, 1587–1629, 2017, ed. Ketab Corporation, Los Angeles, ISBN 978-1595845672, English translation by Azizeh Azodi.
Sicker, Martin (2001). The Islamic World in Decline: From the Treaty of Karlowitz to the Disintegration of the Ottoman Empire. Greenwood Publishing Group. ISBN 027596891X

もう一度検索