オスマン帝国軍

オスマン帝国軍の歴史と変遷

オスマン帝国軍は、かつてオスマン帝国の防衛と征服を担った重要な軍事組織であり、1923年にトルコ共和国が成立するまで存在しました。その設立は13世紀末のオスマン1世の時代にさかのぼり、初期の軍隊は主にトルコ人や周辺地域のムスリムから構成されていました。反帝国勢力に対抗するため、彼の指導の下、オスマン軍は次第にその規模と影響力を拡大していきました。

創設と発展

当初、オスマン軍は比較的シンプルな構成を持っていましたが、帝国の拡大に伴い、選抜された兵士によって構成される精鋭部隊が設立されました。その中でも、特に注目すべきなのがイェニチェリです。この部隊は、征服戦の捕虜からなる新しい兵士の集団としてスタートしましたが、次第に領土内のキリスト教徒の子弟を徴兵する形に変わっていきました。これにより、オスマン帝国は規模が大きく、戦略的な軍隊を持つに至ったのです。

また、オスマン帝国は海軍にも力を入れ、初期は弱体だったものの、北アフリカの海賊が豊富な海の利用を受け入れると、16世紀には地中海での制海権を掌握するまでに成長しました。特にエジプトを制圧した際には、現地のマムルーク勢力と連携し、軍の主力に組み入れることで、さらなる勢力拡大に貢献しました。これにより、オスマン帝国は中世・近世のヨーロッパ諸国に対して大きな脅威を与え続けました。

軍の西洋化改革

しかし、18世紀以降は領土の喪失が続く中で、オスマン帝国の衰退が顕著になり、軍事力の低下がその一因であるとの認識が高まりました。1793年、セリム3世は「ニザーム・ジェディード」という新軍を創設し、改革を試みましたが、既存のイェニチェリの強い抵抗を受け失敗しました。続く1808年に即位したマフムト2世は、より成功した改革を進め、イェニチェリ勢力を排除する手段として新部隊を用いて1826年にはイェニチェリ制度自体を廃止しました。これにより、オスマン帝国は西洋式の新式軍隊「ムハンマド常勝軍」を正式に構築しました。

一方、エジプト州の総督ムハンマド・アリーも近代的な軍事改革に着手し、1811年にはマムルークを完全に排除して西洋式軍隊を創設しました。これによりエジプトはオスマン帝国と対立することになり、特にエジプト・トルコ戦争ではオスマン帝国に大きな衝撃を与える敗北をもたらしました。この一連の出来事は、軍備強化の必要性を強く意識させました。

軍備の再建と成果

その後、オスマン帝国は徴兵制度の導入や兵器の購入を進め、クリミア戦争でもロシア相手に善戦します。しかし、1877年の露土戦争では敗北を喫し、イスタンブール郊外までロシア軍が進行する事態に至りました。戦争の中で海軍は活躍の場が減り、陸軍に比べ地位が低下していくこととなります。

露土戦争の後、オスマン帝国はドイツから軍事顧問団を招き、陸軍の再建に取り組みました。特にフォン・デア・ゴルツの尽力により、ドイツ式軍制が導入され、1897年の希土戦争では圧勝を収めました。このため、陸軍内ではドイツへの支持と好感が強まり、第一次世界大戦の際には中央同盟国側に参戦する背景となりました。

しかし、慢性的な財政難の影響で軍備の増強は十分には進まず、バルカン戦争での敗北が続きました。第一次世界大戦では一旦中立を保ったものの、ドイツ帝国が優勢であると判断すると、中央同盟国側に参戦し、ギリシャやコーカサスに侵攻しました。

解体への道

戦争の後期には連合国の反撃に遭いほぼ壊滅的な状況に陥り、戦後はイズミル地区がギリシア軍に占領される結果となりました。1943年の共和制移行が宣言されると、オスマン帝国軍は正式に解体され、その歴史に幕を下ろしました。

関連項目

• - オスマン帝国海軍
• - 軍服 (トルコ)

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