オックスフォード議会 (1644年)

オックスフォード議会とは

オックスフォード議会は、17世紀のイングランドで清教徒革命（イングランド内戦）の最中に、チャールズ1世によって2度召集された議会です。1644年1月から4月、そして同年10月から1645年3月までという短期間で、いずれも目立った成果を上げることなく解散しました。この議会は、内戦の複雑な状況と、王党派と議会派の対立が激化する中で、政治的混乱を象徴する出来事として知られています。

議会召集の背景

第一次イングランド内戦が長期化する中、チャールズ1世の側近であったエドワード・ハイド（後のクラレンドン伯爵）は、王党派と議会派の和睦を目指していました。彼はチャールズ1世に対し、議会を召集することで和平の道を探ることを進言しました。チャールズ1世はこれに応じ、1643年12月に声明を発表。この中で、ウェストミンスターの長期議会（議会派）がスコットランドの国民盟約（盟約派）と軍事同盟を結んだことを非難し、外国勢力を介入させた議会派を批判しました。そして、ウェストミンスターから離れ、オックスフォードに召集される議会に参加すれば恩赦を与えることを約束しました。チャールズ1世とハイドは、オックスフォードの議会を長期議会に対抗する拠点とし、ウェストミンスターから和平を望む人々を集結させることを目指していました。

議会の開催と混乱

1644年1月22日、オックスフォード大学クライスト・チャーチで議会が開かれました。貴族院からは40名、庶民院からは100名以上の議員が集まり、チャールズ1世の甥であるカンバーランド公ルパートをはじめとする王党派の軍人も議員に任命されました。チャールズ1世は開会の訓示で、長期議会を非難し、国王の権利と名誉の回復を訴えました。オックスフォード議会もこれに応じ、スコットランド人を侵入者であると宣言しました。一方、長期議会はオックスフォード議会に参加した議員たちを除名することで対抗しました。

しかし、議会が開かれたオックスフォードの街は、議員たちで溢れかえり、次第に不穏な空気に包まれていきました。オックスフォードに駐屯している王党派の兵士と議員の間には、意見の対立や確執が生じました。このような状況に耐えきれず、ウェストミンスターへ逃亡する議員も現れるなど、都市の過密状態も問題となりました。結局、チャールズ1世は4月16日に議会を解散。3ヶ月にも満たない短い会期で、議会は何も成果を上げることができず、ハイドの試みは失敗に終わりました。

再召集と再度解散

チャールズ1世は同年10月8日にオックスフォード議会を再召集しましたが、内戦が進むにつれて長期議会が行政制度を整えていくのとは対照的に、制度や人材が不足していることが明らかになりました。その結果、議会は再び短期間で、1645年3月10日に解散されました。

オックスフォード議会の意義

オックスフォード議会は、チャールズ1世が議会派に対抗しようとした試みでしたが、結果として内戦の激化を招き、王党派の弱点を露呈する形となりました。この議会は、イングランド内戦における政治的な混乱と、両陣営の対立を象徴する出来事として、歴史にその名を刻んでいます。

参考文献

塚田富治『近代イギリス政治家列伝 かれらは我らの同時代人』みすず書房、2001年。
シセリー・ヴェロニカ・ウェッジウッド著、瀬原義生訳『イギリス・ピューリタン革命―王の戦争―』文理閣、2015年。

もう一度検索