オットー・ゴットリープ・モーニッケ

オットー・ゴットリープ・モーニッケ

オットー・ゴットリープ・ヨハン・モーニッケ（Otto Gottlieb Johann Mohnike、1814年7月27日 - 1887年1月26日）は、ドイツ帝国出身の医師であり、博物学者としても知られています。彼は日本に牛痘苗を導入し、天然痘の予防に大きく貢献しました。

生涯

モーニッケは、1814年にシュトラールズントで生まれました。当初は文献学を学んでいましたが、父親の友人であるエルンスト・モーリッツの影響を受けて医学の道に進みました。彼は各地の大学で医学を修めた後、故郷のシュトラールズントで開業医としてのキャリアをスタートさせました。1844年にはオランダ領東インド（現在のインドネシア）のジャワ島に派遣され、そこで医療活動に従事しました。

1848年から1851年までの間、モーニッケは長崎の出島で勤務しました。この時期に、佐賀藩主である鍋島閑叟がオランダ商館長を通じて牛痘苗の入手を試みていることを知ります。モーニッケは日本への渡航時に牛痘苗を持参しましたが、最初の接種では効果が得られませんでした。しかし、再度バタヴィア（現在のジャカルタ）から痘痂を取り寄せ、1848年7月に鍋島藩医の楢林宗建の息子に接種したところ、接種が成功し、この牛痘苗は日本各地へと広まっていきました。さらに、閑叟の息子である淳一郎（後の藩主、鍋島直大）も接種を受けました。

それまで、日本への牛痘苗の輸送は航海中に効力を失うことが多く、失敗が繰り返されていましたが、モーニッケによるこの成功によって牛痘法は日本に普及し、天然痘の撲滅に大きく貢献することとなりました。また、彼は日本に初めて聴診器を持ち込んだ人物としても知られています。

1869年にモーニッケは退職し、家族とともにボンに移住しました。退職後も彼は研究活動を続け、ジャワ島、スマトラ島、セレベス島、モルッカ諸島といった東南アジア各地の博物学に関する著作を残しました。モーニッケの墓は、日本の医学史学会の協力によって復元され、彼の功績を今に伝えています。

業績

モーニッケの主な業績は以下の通りです。

日本への牛痘苗の導入: 天然痘の予防に不可欠な牛痘苗を日本に持ち込み、牛痘法の普及に大きく貢献しました。
日本初の聴診器導入: 日本の医療に新たな技術をもたらしました。
東南アジアの博物学研究: ジャワ島、スマトラ島、セレベス島、モルッカ諸島などの動植物に関する詳細な研究を行い、多くの著作を発表しました。

著書

モーニッケは、医学、民族学、博物学など幅広い分野で多くの著作を発表しました。以下は、彼の主な著書の一部です。

De instinctu sexuali eiusque natura atque causis (1837)
Die Japaner - Eine ethnographische Monographie (1872)
Banka und Palembang nebst Mittheilungen über Sumatra im Allgemeinen (1874)
Über geschwänzte Menschen (1878)
Blicke auf das Pflanzen- und Thierleben in den niederländischen Malaienländern (1883)
Affe und Urmensch (1888)

参考文献

Grewolls, Grete. Wer war wer in Mecklenburg-Vorpommern? Ein Personenlexikon. Edition Temmen, Bremen 1995, ISBN 3-86108-282-9, S. 294.
Wilhelm, Johannes H.: Otto Gottlieb Johann Mohnike (1814–1887). Pommersche und Bonner Spuren. In: Gössmann, Hilaria; Mrugalla, Andreas (Hrsg): 11. Deutschsprachiger Japanologentag in Trier 1999: Bd. 1 Geschichte, Geistesgeschichte, Religionen, Gesellschaft, Politik, Recht, Wirtschaft. LIT Verlag, Berlin-Hamburg-Münster 2001, ISBN 3-8258-4463-3, S. 111f.

関連項目

明治維新以前に日本に入国した欧米人の一覧
* 角尾晋：旧制長崎医科大学学長で被爆死。モーニッケがもたらした聴診器の原材の考証についての論文が遺著となった。


モーニッケの功績は、日本における医療の発展に大きく貢献しただけでなく、学術的な側面からも多大な影響を与えています。彼の研究は、今もなお多くの研究者にとって重要な資料となっています。

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