オハラ (ガラスメーカー)

株式会社オハラ：日本の光学ガラスを世界へ

1935年、日本における光学ガラス専業メーカーとして創業した株式会社オハラ。その歴史は、創業者の小原甚八氏が大日本帝国海軍の造兵廠での経験を活かし、独立起業することから始まります。当初は個人事業としてスタートしましたが、服部時計店（現在のセイコーグループ）からの資金提供を受け、順調に事業を拡大していきました。

戦時中から戦後にかけて

太平洋戦争中は、軍需産業からの需要が大きく、日本光学工業（現ニコン）をしのぐガラス生産量を誇りました。戦争終結後、需要激減という危機的状況に直面するも、装飾用クリスタルガラスの製造を開始するなど、事業転換を図りながら、持ちこたえました。

戦後、キヤノンは日本光学工業からのレンズ供給に依存していた状況から脱却するために、オハラからガラスの供給を受け、レンズの自社生産を可能にしました。この取引をきっかけに、キヤノンはオハラに資本参加し、現在ではセイコーに次ぐ大株主となっています。

時代の先端をゆく技術

オハラの技術力が広く知れ渡るきっかけとなったのが、1975年に生産を開始した低屈折低分散ガラス「FK01」（のちにS-FPL51と改称）です。この革新的なガラスは、従来の光学ガラスよりも色収差を大幅に軽減することが可能で、カメラ用レンズや天体望遠鏡など、様々な製品に採用され、大きな反響を呼びました。

その後も、オハラは技術革新を続け、高精度な光学ガラスを開発し続けています。その製品は光学機器にとどまらず、半導体製造装置（ステッパー）など、最先端技術を支える分野にも幅広く活用されています。特に、ASML製のステッパーの光学系に用いられるガラスの大半はオハラ製であり、世界的な半導体産業に貢献しています。

世界を支える技術

オハラの技術は、宇宙開発にも貢献しています。同社の「ゼロ膨張[ガラス]]」と「低膨張ガラス」は、30メートル望遠鏡]と[巨大マゼラン望遠鏡]という、世界に3つしかない超大型望遠鏡プロジェクトの2つに採用されています。これらの[[ガラスは、温度変化による寸法変化が極めて小さく、精密な観測を可能にするために不可欠な技術です。

多様な製品群

オハラの製品は、大きく分けて光学製品、エレクトロニクス製品、その他特殊ガラスの3種類に分類できます。光学製品には、様々な特性を持つ光学ガラスや、軽量高屈折率眼鏡ガラスなどがあります。エレクトロニクス製品には、極低膨張ガラスセラミックスや、DWDM誘電体多層膜フィルター用ガラスセラミックスサブストレートなどが含まれます。その他特殊ガラスには、装飾用ガラスなどがあります。

未来への展望

創業から約90年、株式会社オハラは日本の光学ガラス業界を牽引し、世界的なメーカーとして成長を続けてきました。今後も、最先端技術の開発と高品質な製品供給を通じて、科学技術の発展に貢献していくことでしょう。 その技術は、カメラや天体望遠鏡といった身近なものから、最先端の半導体製造装置や巨大望遠鏡といった最先端技術まで、幅広い分野で活用されています。オハラの技術革新は、未来の技術を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。

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