オペラ・ソフトウェア

オペラ・ソフトウェアASとは

オペラ・ソフトウェアAS（Opera Software AS）は、ノルウェーのオスロに本社を置くソフトウェア開発企業です。スウェーデン、ポーランド、中国にも支社を展開しており、中国の奇虎360を中心としたコンソーシアム傘下の公開企業として、オスロ証券取引所に上場しています。

同社は、Webブラウザ「Opera」の開発元として広く知られています。また、W3C（World Wide Web Consortium）を通じてWeb標準化の推進にも積極的に取り組んでいました。2022年現在、公式サイトでは「オペラは人である」というメッセージを掲げ、世界中のあらゆるデバイスで最高のオンライン体験を提供することを目指す国際的なチームであることを強調しています。

歴史

1995年8月30日、ヨン・フォン・テッツナーとゲイル・イヴァルセイによって設立されました。元々はノルウェーの大手通信企業Telenor Research and Developmentで行われていたプロジェクトを継承する形でスタートしました。2004年3月11日にはオスロ証券取引所に株式を公開しています。

Opera Softwareの最初の製品は、1997年にリリースされた「Opera 2.1 for Windows」でした。1998年以降は、携帯インターネットデバイス市場への進出に成功し、様々なプラットフォームへの移植を実現しました。

2000年にリリースされた「Opera 4.0」では、複数のOSとプラットフォームで動作する新しいクロスプラットフォームコアが採用されました。このバージョンまでは有償提供でしたが、「5.0」からはブラウザ上部に広告を表示する代わりに無償利用が可能となり、ライセンス購入で広告を消せる方式に変更されました。その後、広告はOperaのバナーまたはGoogle AdSenseに変更可能となり、閲覧内容に基づいた広告（成人向けサイトの場合はGoogleの広告）が表示されるようになりました。2005年1月12日からは高等教育機関向けのライセンスが無償化され、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、オックスフォード大学などが恩恵を受けました。

当初、広告表示が批判され普及の妨げとなっていたOperaですが、教育市場でのシェアを獲得することに成功しました。2005年8月には、Java MEをベースにした携帯電話用ブラウザ「Opera Mini」をリリースし、携帯電話事業者向けに提供を開始しました。9月20日には「Opera 8.5」のリリースと同時に、広告を廃止し完全無料化を発表しました。これは、主な収入源をGoogleからのデフォルト検索エンジン契約に移行したためです。

しかし、過去のバージョンでは広告を消すためには従来通りライセンス購入が必要であり、「Opera Mini」も無料化の対象外でした。Operaは、マイクロソフトがOSにInternet Explorerをバンドルすることを不公正だと主張し、欧州委員会に排除を求める申し立てを行っていました。2009年にマイクロソフトが欧州向けWindows 7にInternet Explorerを搭載しないことを決定したのは、Opera社の働きかけが影響したと言われています。

2013年にはiPad用ウェブブラウザー「Opera Coast」を配信し、翌年にはiPhone版もリリースしました。

中国企業による買収

2016年6月、中国企業のコンソーシアム（奇虎360が中心）による企業買収に応じたと報じられ、7月には「Opera」ブランドを含む事業の一部を売却することで合意しました。当初は会社全体の買収が提案されましたが、最終的には以下のような分割となりました。

買収対象となった事業

「Opera」ブランド
関連する従業員（約1100人）やマーケティング事業
Webブラウザ（モバイル版、デスクトップ版）およびサポートチーム
VPNサービスやデータ圧縮技術などのアプリ
Opera TV以外の技術ライセンシング事業
Operaの中国におけるジョイントベンチャー「nHorizon」

買収対象から外れた事業

Opera Mediaworks
Bemobiを含むアプリやゲーム（主にアジアで提供）
Opera TV（スマートTV向けWebブラウザ）

この買収により、オペラ・ソフトウェアの従業員数は約560人に縮小し、18ヶ月以内に新たな企業名を決定する必要が生じました。2016年11月に買収が完了し、買収対象となった事業はオペラ・ソフトウェアASに引き継がれました。規制当局の承認が得られず買収対象とならなかった事業は、オペラ・ソフトウェアASAが社名をオテロ (Otello Corporation) に変更し、存続することとなりました。

関連情報

関連項目:
Vivaldi (ウェブブラウザ) - 旧Operaの流れを汲む
ヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナー
ゲイル・イヴァルセイ
ホーコン・ウィウム・リー
外部リンク:
Opera（日本語）
* Opera（英語）


オペラ・ソフトウェアASは、技術革新とグローバルな協力を通じて、Webブラウジングの未来を切り拓く企業として、今後もその活動が注目されます。

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