オユンナII黄砂

オユンナのセカンドアルバム『オユンナII黄砂』は、モンゴルという遠い土地から日本へと歌声を届けた彼女が、1992年9月2日にポニーキャニオンから発表した音楽作品です。このアルバムは、前作に続く意欲作であり、特に表題曲にも冠されている「黄砂」が大きな注目を集めました。

アルバムの冒頭を飾る楽曲「黄砂」は、テレビ番組『花王ファミリースペシャル「ムツゴロウ少年記」』の主題歌として選ばれ、その雄大で心に響くメロディと歌詞が多くの人々に親しまれました。この曲は、畑正憲氏が作詞を、オユンナ自身が作曲を手がけ、槌田靖識氏が編曲を担当しています。

『オユンナII黄砂』の大きな特徴の一つは、オリジナル楽曲と並んで、日本で長く愛されてきたフォークソングや童謡の名曲をカバーして収録している点です。これにより、モンゴルの伝統やオユンナ自身の世界観に根差したオリジナル曲とはまた異なる、日本のリスナーにとって馴染み深い旋律を通じて、彼女の歌声の魅力を伝える試みが行われています。

収録されているカバー曲には、日本の音楽シーンを彩ってきた名曲が数多く含まれています。例えば、シンガーソングライターである谷村新司氏が作詞・作曲を手がけた「初恋」、「花」、「いい日旅立ち」は、佐孝康夫氏（「初恋」「花」）や若草恵氏（「いい日旅立ち」）による編曲で、オユンナの歌声によって新たな息吹が吹き込まれています。これらの楽曲は、多くの歌手に歌い継がれてきた日本のスタンダードナンバーです。

さらに、日本のフォークソングの代表的な存在である北山修氏作詞、はしだのりひこ氏作曲の「風」や、永六輔氏作詞、中村八大氏作曲の「遠くへ行きたい」といった楽曲も、宮崎信治氏の編曲で収録されています。これらの楽曲もまた、世代を超えて歌い継がれる名曲であり、オユンナの表現力によって多様な色彩を帯びています。

また、童謡や叙情歌の世界からも名曲が選ばれています。林古渓氏が作詞し、成田為三氏が作曲した日本歌曲の代表作「浜辺の歌」や、荒木一郎氏が作詞・作曲を手がけたポピュラーソング「空に星があるように」も、宮崎信治氏の編曲で収録されており、オユンナの清らかな歌声がこれらの楽曲に新たな魅力を加えています。

これらのカバー曲に加え、オユンナ自身が作曲に参加したオリジナル曲「天の子守歌」（作詞：藤公之介、編曲：川崎康宏）や「いのちの歌」（作詞：藤公之介、編曲：槌田靖識）も収録されており、アルバム全体で彼女の音楽性の幅広さを示しています。『オユンナII黄砂』は、故郷モンゴルの空を思わせる歌声と、日本の心象風景を描いた名曲が見事に融合した、聴き応えのある一枚と言えるでしょう。このアルバムを通じて、オユンナはその歌唱力と表現力で日本のリスナーに強い印象を残しました。

収録曲リスト

黄砂
作詞: 畑正憲、作曲: オユンナ、編曲: 槌田靖識
天の子守歌
作詞: 藤公之介、作曲: オユンナ、編曲: 川崎康宏
いのちの歌
作詞: 藤公之介、作曲: オユンナ、編曲: 槌田靖識
初恋
作詞/作曲: 谷村新司、編曲: 佐孝康夫
花
作詞/作曲: 谷村新司、編曲: 佐孝康夫
いい日旅立ち
作詞/作曲: 谷村新司、編曲: 若草恵
風
作詞: 北山修、作曲: はしだのりひこ、編曲: 宮崎信治
遠くへ行きたい
作詞: 永六輔、作曲: 中村八大、編曲: 宮崎信治
浜辺の歌
作詞: 林古渓、作曲: 成田為三、編曲: 宮崎信治
空に星があるように
作詞/作曲: 荒木一郎、編曲: 宮崎信治

このように、『オユンナII黄砂』は、モンゴルの風を感じさせるオユンナのオリジナリティと、日本人が大切にしてきた歌の心が見事に調和したアルバムであり、1992年当時の彼女のキャリアにおける重要な位置を占める作品です。

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