オライオン級戦艦

オライオン級戦艦：超弩級戦艦時代の幕開け

オライオン級戦艦は、イギリス海軍が第一次世界大戦前に建造した、最初の超弩級戦艦です。ドイツ帝国海軍による弩級戦艦の大量建造に対抗するため、1909年度計画で6隻の戦艦建造が計画されました。その内2隻はコロッサス級であり、その改良型として建造されたのが、このオライオン級戦艦です。

主砲の大口径化と配置の革新

オライオン級の大きな特徴は、主砲を従来の12インチ（30.5cm）砲から、34.3cm砲へと大口径化したことです。これは、30.5cm砲の抱える問題点を克服し、砲弾重量の増加によって威力を向上させることを目的としていました。また、主砲配置も梯型配置から、艦首方向に最大火力集中できる配置へと変更。これにより、イギリスのメディアからは「超弩級戦艦（Super Dreadnoughts）」と喧伝され、世界的に超弩級戦艦の時代が幕を開けました。

艦形

コロッサス級の改良型として、オライオン級は2本煙突の間に主マストを配置する形式を継承しました。しかし、この配置は煤煙による射撃指揮への悪影響を引き起こし、同時期に設計されたライオン級でも同様の問題が発生しました。船体形状は高い乾舷を持つ短船首楼型で、外洋での凌波性は良好でした。艦首から連装主砲塔2基、艦橋、煙突、三脚マスト、後部見張り所、そして背負い式の主砲塔2基が配置されました。副砲の10.2cm速射砲は、艦橋基部と後部見張り所の基部に分散配置されました。

武装

主砲

新設計の「1912年型 Mark V 34.3 cm（45口径）砲」を採用。この砲は、砲口初速787m/sで567kgの砲弾を最大仰角20度で約21km先まで届かせる能力を持っていました。発射速度は毎分1.5発程度でした。

副砲

「1910年型 Mark VII 10.2 cm（40口径）速射砲」を搭載。14.1kgの砲弾を最大仰角20度で約8.8km先まで届かせることができました。発射速度は1分間に10発でした。

その他

対艦攻撃用に53.3cm水中魚雷発射管3門を装備していました。

防御

舷側防御は305mmへと強化されました。

艦歴

オライオン、モナーク、コンカラー、サンダラーの4隻は第一次世界大戦に参加しましたが、終戦を迎えました。その後、1921年から1922年にかけて退役しましたが、サンダラーのみ練習艦としてネルソン級戦艦「ネルソン」の就役まで保有されました。

オライオン: 1922年12月に除籍後、1923年に解体。
モナーク: 1925年1月に除籍後、標的艦として沈没処分。
コンカラー: 1922年6月除籍。
サンダラー: 1926年8月まで就役し、1927年に解体。

オライオン級戦艦は、その後の戦艦設計に大きな影響を与え、超弩級戦艦時代の幕開けを告げる存在となりました。

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