オラル (オルクヌウト部)

オラル・キュレゲン（生没年不詳）は、13世紀初頭のモンゴル帝国において活躍した人物です。オルクヌウト部出身で、千人隊長という要職を務めました。

生い立ちと出自

『元朝秘史』では「斡剌児古咧堅」、『集史』では「اولار كوركان」と記録されています。『集史』によると、オラルはコンギラト部族から派生したオルクヌウト部族の出身であり、チンギス・カンの生母であるホエルンの兄弟であったと伝えられています。ホエルンがイェスゲイに嫁いだことがきっかけとなり、オラルの家系は代々チンギス・カンの一族と姻戚関係を結ぶことになりました。

モンゴル帝国への貢献

オラルがどのような経緯でチンギス・カンに仕えるようになったのかは定かではありません。しかし、1206年にモンゴル帝国が建国されると、彼は帝国の幹部層である千人隊長に任命されました。『元朝秘史』の功臣表では、79位に列せられています。

子孫の繁栄

オラルにはタイチュという息子がおり、チンギス・カンの晩年には父の千人隊を継承し、右翼17番目の千人隊長に数えられています。タイチュはチンギス・カンの娘アルタルカンを娶り、「キュレゲン（駙馬/婿）」の称号を得ました。

タイチュの後を継いだのは息子のジュジンバイで、彼もまた第4代皇帝モンケの娘を娶っています。ジュジンバイが娶ったのは、モンケとオグルトトミシュの間に生まれたシーリーンという娘でしたが、シーリーンは早世したため、その妹であるビチカを新たに娶りました。

タイチュとジュジンバイの婚姻については、『元史』巻109表4諸公主表にも記録されています。しかし、そこでは結婚相手である公主の名前が塗りつぶされており、詳細を知ることはできません。諸公主表には続けて、「ジュジンバイの子ベクレ」、「ベクレの子タバク」もチンギス・カン家の女性（公主）を娶ったことが記されており、オラル家の姻族としての地位が後代まで続いていたことがわかります。

オルクヌウト部系図

以下に、オラル・キュレゲンから始まるオルクヌウト部の系図を示します。

ホエルン・エケ
オラル・キュレゲン
タイチュ・キュレゲン
ジュジンバイ・キュレゲン
ベクレ・キュレゲン
タバク・キュレゲン
キンギヤダイ・キュレゲン
イェケ・イェスル
ホージャ・ノヤン
トナ
トラト・キュレゲン
ムラカル

まとめ

オラル・キュレゲンは、チンギス・カンの時代に活躍した千人隊長であり、その子孫はチンギス・カン家との婚姻関係を通じてモンゴル帝国の要職を歴任しました。彼の家系は、帝国の発展に大きく貢献した一族として、歴史に名を残しています。

参考文献

志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年

もう一度検索