オグルトトミシュ

オグルトトミシュ：モンケ・カアンの皇后、激動の時代を生きた女性

オグルトトミシュ（生没年不詳）は、13世紀のモンゴル帝国において、第4代皇帝モンケ・カアンの皇后（ハトゥン）として存在感を示した女性です。彼女はオイラト部族長クドカ・ベキの娘として生まれ、 политических бракを通じてモンゴル帝室の一員となりました。

生涯

出自と結婚

オグルトトミシュは、12世紀末から13世紀初頭にかけて、オイラト部の有力者であったクドカ・ベキの娘として誕生しました。彼女の兄弟には、イナルチやトレルチらがいました。

1208年、父クドカ・ベキはモンゴル帝国の創始者チンギス・カンにいち早く帰順し、その功績が認められました。その結果、クドカ・ベキの子トレルチはチンギス・カンの娘チチェゲンを娶り、チンギス・カンの子トルイはクドカ・ベキの娘オグルトトミシュを娶るという「交換婚」が計画されます。

『集史』によれば、当初チンギス・カン自身がオグルトトミシュを娶ることを望んでいましたが、実現には至りませんでした。その後、トルイが早世したため、その長男であるモンケがオグルトトミシュを娶ることになったとされています。モンケがオグルトトミシュを娶ったのは、1232年頃、父トルイのオルドを継承した後と考えられています。

皇后としての影響力

オグルトトミシュは、モンケの皇后として、帝国内で一定の影響力を持っていたと考えられています。トルイとの婚姻が実現しなかった経緯から、彼女はクビライやフレグといったモンケの弟たちを息子のように扱い、彼らもまた彼女を尊重していたと伝えられています。

モンケとの間には、シリンとビチカという2人の娘をもうけましたが、男子には恵まれませんでした。娘たちは後にオルクヌウト部のジュジンバイに嫁ぎました。

早世とその後

オグルトトミシュは比較的若くして亡くなったと見られています。1254年にモンケ・カアンの下を訪れたウィリアム・ルブルックは、彼女に会うことはできませんでした。ルブルックの旅行記には、オグルトトミシュやその関係者がネストリウス派キリスト教を信仰していたことが記されています。

オイラト部クドカ・ベキ王家

オグルトトミシュの出自であるオイラト部クドカ・ベキ王家は、チンギス・カンに帰順した後、モンゴル帝国において重要な役割を果たしました。以下に、その家系図の一部を示します。

クドカ・ベキ
イナルチ
ウルド
ニグベイ
アク・テムル
トレルチ・キュレゲン
ブカ・テムル
チョバン・キュレゲン
チャキル・キュレゲン
タラカイ・キュレゲン
ノルン・カトン
ブルトア・キュレゲン
バルス・ブカ・キュレゲン
ベクレミシュ・キュレゲン
シーラップ・キュレゲン
エメゲン・カトン
エルチクミシュ・カトン
クイク・カトン
オルガナ・カトン
クチュ・カトン
オルジェイ・カトン
オグルトトミシュ

まとめ

オグルトトミシュは、モンゴル帝国の拡大期に、政略結婚を通じて帝室の一員となり、皇后としてモンケ・カアンを支えました。彼女の生涯は、モンゴル帝国における политических бракの重要性を示すとともに、帝室内の人間関係や宗教事情を垣間見せてくれます。オグルトトミシュの存在は、モンゴル帝国の歴史を語る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

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