オラン

アルジェリアの港町、オラン

オランは、アルジェリア北西部に位置する、同国で2番目に大きな都市です。その名は「二頭のライオン」を意味し、オラン県の県都として、またアルジェリアの主要な港湾都市、商業の中心地として重要な役割を担っています。バーが立ち並び、夜にはコンサートやダンスショーが繰り広げられるなど、歓楽地としても知られています。

歴史

オランの歴史は903年、イベリア半島のイスラム教徒によって商業拠点として建設されたことに始まります。小麦粉の供給地としてムワッヒド朝、ザイヤーン朝の時代に繁栄しましたが、1509年にスペインによって占領され衰退。その後、オスマン帝国による征服、スペインによる奪還、そしてオスマン帝国への売却を経て、1791年にオスマン帝国領となりオラン州の州都となりました。1830年にフランスがアルジェリアを占領すると、1831年にフランスに併合。ヨーロッパからの入植拠点として近代的な市街地が建設され、現在の大都市の原型が築かれました。

フランス植民地時代には、ヨーロッパ系の入植者が多数居住し、ヨーロッパ風の近代都市として繁栄。第二次世界大戦中にはヴィシー政権下に置かれましたが、1942年のトーチ作戦で連合国軍によって占領されました。また、フランス艦隊がドイツの手に渡ることを恐れたイギリス軍との間で、メルセルケビール海戦が勃発した地でもあります。1962年のアルジェリア独立に伴い、オランはアルジェリア領となりました。

地理と気候

オランは海と丘陵に囲まれた地形であり、南には平原が広がります。旧市街は丘陵地に形成され、オスマン帝国時代のカスバ（城砦）に囲まれています。新市街は鉄道に沿って南東に発展しました。周辺にはアレッポマツ、ユーカリ、コルクガシなどの植生が見られ、近郊のセブカのオラン塩湖は、フラミンゴなどの渡り鳥が生息するラムサール条約登録地となっています。

文化と観光

オランには、スペイン統治時代の名残であるサンタクルーズの城壁や、フランス植民地時代に建てられた大聖堂など、歴史的な建築物が数多く存在します。また、教会を転用した市立図書館など、ユニークな建築物も見られます。ライ音楽の発祥地としても知られ、シェブ・ハレドやラシッド・タハなど、世界的なミュージシャンを輩出しています。アルベール・カミュの小説『ペスト』の舞台としても有名です。

経済と交通

オランの郊外や港湾地域では工業が発達しており、様々な産業が盛んです。ワイン、アルコール、小麦などの農産物や、羊毛などの畜産物が他の地域へ出荷されています。また、鉄道網が整備されており、アルジェリアの主要都市と接続されています。オラン・エス・セニア空港からは、国際線や国内線が運航しています。

姉妹都市

オランは、アリカンテ（スペイン）、ボルドー（フランス）、カイロ（エジプト）など、世界中の多くの都市と姉妹都市提携を結んでいます。

もう一度検索