オリオン座カイ2星

オリオン座χ2星

オリオン座χ2星（χ2 Orionis）はオリオン座に所属する明るい恒星で、見かけの等級は4.63と肉眼で確認できるレベルです。この星は青色超巨星とされており、何らかの理由で強力な恒星風を放出しています。また、はくちょう座α型の変光星にも分類されています。

位置と距離

この恒星はオリオン座の棍棒の先端に位置しており、近くにはバイエル符号が同じオリオン座χ1星があります。これらの星は似たような明るさを持っていますが、実際の距離は異なります。オリオン座χ2星はふたご座OB1アソシエーションの一部と考えられており、その距離を推定すると約4900光年にあたります。しかし、異なる手法では異なる結果が得られています。例えば、光度から推測した距離は3500光年や、ヒッパルコスによる年周視差で計算すると1800光年と、かなりの幅があります。

特徴

オリオン座χ2星のスペクトル型はB2 Iaで、表面の有効温度は約19000 Kと言われています。光度は太陽の約45万倍に達し、非常に明るい星の一つです。この距離と光度から、3等星として見えても不思議ではないですが、星間減光の影響を受けて、実際の見かけの等級は4.6に留まっています。さらには、オリオン座χ2星は太陽の62倍の半径を持ち、質量は太陽の32倍程度と推測されています。

この恒星のスペクトルには、顕著な星間吸収線が見られるため、星間物質の構成や構造を理解する上で重要な情報源とされています。特に、金属元素の一つであるチタンは、この星の観測によって発見されたという歴史もあります。

恒星風

オリオン座χ2星は非常に強い恒星風を生じさせ、年間で太陽の質量の100万分の1程度の質量を失っています。この現象は水素のHα線や紫外線領域の炭素イオンから観察され、そのプロファイルがP Cyg型を示すことで確認されています。恒星風の終端速度は510 km/sに達し、その豊富なデータにより、この風の密度や速度が変化することが知られています。特に、時間によって変わるスペクトル線の輪郭から、薄く広がる構造が爆発的に膨張したり、局所的な構造が現れることが示唆されています。

変光

オリオン座χ2星は、ヒッパルコス衛星の観測により僅かな変光を示すことがわかっています。この観測では、光度が4.68等から4.72等まで変化し、その周期は2.869日とされています。これらの特徴により、オリオン座χ2星ははくちょう座α型変光星として分類され、変光星カタログにも登録されています。さらに、Hα線の変化による周期的な解析から、80日、約40日、0.957日、0.922日の変動周期があることも示唆されています。

名称と文化

中国の星座体系において、オリオン座χ2星はおうし座139番星やふたご座1番星とともに「司怪」という星官を形成します。この星は「司怪三」（司怪の3番星）とも称され、予兆や妖怪を司る神を象徴しています。

オリオン座χ2星はその特異な性質や変光の特徴から、天文学の研究においても重要な役割を持つ恒星であり、今後の観測による新たな発見が期待されます。

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