オリオン座S星

オリオン座S星について

オリオン座S星（S Orionis）は、オリオン座の方向に位置する大きな脈動変光星です。この星は約1,600光年の距離に存在しており、ミラ型変光星として知られています。明るさは7.2等から14等の範囲で変化し、その変光周期はおよそ430日です。この変光は、星の大きさにも影響を与え、視直径は7.9ミリ秒から9.7ミリ秒に変わります。これはおおよそ、400太陽半径から500太陽半径に相当します。

変光に伴い、オリオン座S星のスペクトル型も変化します。具体的には、M6.5eからM9.5eの範囲で変化します。この点において、オリオン座の他のミラ型星、特にオリオン座U星と比較されることが多いですが、S星はU星ほど明るくはなりません。オリオン座U星の極大等級よりも2.4等暗い位置にあるのです。

変光周期の変動

オリオン座S星の変光周期は、時間の経過とともに変化していくことが観測されており、この周期は100年のスパンで見た場合に正弦曲線的に変動していることがわかっています。特に、全体的に見れば、周期がわずかに長くなる傾向があります。1962年から1979年の間に、周期は445日から397日へ短縮されており、この期間の変化率は1日あたり0.007日と非常に速いもので、通常のミラ型星の挙動とは異なります。このことから、オリオン座S星の内部では、ヘリウム殻フラッシュが発生している可能性が考えられているのです。

星周構造

オリオン座S星の周りには、その星から放出された物質によって形成された塵の層が存在しています。この塵の層の大きさは、星の変光周期と密接に関連しています。具体的には、光度が最低の時期に塵の生成が進み、最高の光度に達した後に塵の層が大きく膨張します。この塵の層のサイズは、光球半径の1.8倍から2.4倍まで変動し、塵の生成においては様々な化学成分が関与しています。

さらに、一酸化ケイ素などのメーザーもこの領域から放射されており、これらのメーザー源となる分子は光球半径の約2倍の範囲に広がっていますが、全体的には規則性のある運動は見受けられません。

重星について

オリオン座S星はワシントン重星カタログの中では二重星として登録されています。南西方向に48秒の距離にG0型星のHD 294176が存在しますが、これは見かけ上の近さで、物理的な関連性はないと考えられています。

まとめ

オリオン座S星は、その特徴的な変光周期や星周構造、他の星との関連性から、天文学者にとって多くの興味を引く天体です。今後の研究によって、その謎がさらに解き明かされることが期待されています。

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