オリョール (戦艦)

オリョール戦艦の歴史

オリョール（ロシア語: Орёл）は、ロシア帝国において建造された戦艦で、その名はロシア語で「鷲」を意味します。この艦は、ロシア海軍では艦隊装甲艦に分類され、ボロジノ級の3番艦にあたります。艦名にはビザンツ帝国から受け継いだ双頭の鷲の紋章が込められており、由緒ある名前としても知られています。1667年にロシア海軍最初の本格的な軍艦に同名が与えられて以来、オリョールはロシア海軍の主力艦名として用いられてきましたが、2018年現在は本艦がその名を持つ最後の艦となっています。

建造から就役まで

オリョールは1900年5月20日にサンクトペテルブルクのガレールヌイ島造船所で起工されました。進水は1902年7月6日、そして1904年10月1日に本格的に就役しました。艦長には、日露戦争への参加を目的として、1904年4月26日付けでニコライ・ユーンク大佐が着任しました。

日露戦争と日本海海戦

オリョールは姉妹艦3隻とともに、第2太平洋艦隊（バルチック艦隊）第1装甲艦隊を編成し、極東へ派遣されます。1905年5月14日には、日本海海戦に参加し、アジアの水域での壮絶な戦闘が繰り広げられました。この戦闘では、オリョールは第2太平洋艦隊 の主力戦艦の中で唯一沈没を免れた艦となりましたが、大損害を受けました。特に、主要な12インチ主砲塔の左砲は、戦闘中の弾薬爆発によって破壊される様子が記録されています。この戦いでは、オリョールの艦員43名が戦死、80名近くが負傷しました。ユーンク艦長も重傷を負い、その後に死亡しました。

降伏とその後

日本海海戦の終了後、オリョールは水線上に多大な損傷を負いながらも、航行を続け、他の艦船と合流しました。しかし、翌日には残存艦隊が日本艦隊に包囲され、最終的にはネボガトフ少将が降伏を決断しました。オリョールはその後、大日本帝国海軍の戦艦石見として編入され、1922年に除籍、1924年には実艦標的として海没処分される運命を辿りました。

後世への影響

オリョールに関する海戦体験は後世に大きな影響を与えました。特に、オリョールの水兵であったアレクセイ・ノビコフ＝プリボイは1932年と1935年に自身の体験をもとに海戦記「ツシマ」を発表しました。また、造船技師のウラジミール・ポリエクトヴィッチ・コスチェンコは1955年に回想録を発表し、オリョールでの経験を詳細に語っています。これにより、オリョールは単なる戦艦の枠を超え、歴史の重要な道具として位置づけられました。

結論

オリョールはロシア帝国海軍の一端を担い、日露戦争における重要な戦艦として歴史に名を残しました。その艦歴や海戦の記憶は、今なお多くの人々に読まれ、語り継がれています。

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