オリンピアン・ハイアワサ

オリンピアン・ハイアワサ：大陸横断の象徴、流線型特急の軌跡

1947年から1961年にかけて、シカゴとシアトルを結んだオリンピアン・ハイアワサは、ミルウォーキー鉄道（Chicago, Milwaukee, St. Paul and Pacific Railroad、略称CMSP&P RR）が運行した大陸横断旅客列車として名高い存在でした。前身であるオリンピアン号から受け継いだ伝統と、流線型の未来的なデザインを融合させたその姿は、鉄道黄金時代の象徴として記憶されています。

ミルウォーキー鉄道と電化の進歩

ミルウォーキー鉄道は1909年、シカゴからピュージェット湾まで2300マイルに及ぶ本線を完成させ、北米大陸最後の横断鉄道となりました。1911年には、シカゴとシアトルを結ぶ旅客列車オリンピアン号とコロンビアン号の運行を開始しました。

同鉄道は、ロッキー山脈の豊富な水力資源に着目し、早期から電化路線の建設を進めました。1915年にはモンタナ州の一部区間で電化運転を開始、その後も電化区間を拡大し、1920年代にはハロゥトンとアイダホ州エーブリー間440マイルという、当時世界最長の電化区間を達成しました。この電化は、蒸気機関車の煤煙による不快感を解消し、運行の高速化と効率化に大きく貢献しました。また、旅客誘致の一環として、イエローストーン国立公園にホテルを建設するなど、積極的な事業展開を行っていました。しかし、1930年代の世界恐慌の影響で旅客数は減少、コロンビアン号は廃止されました。

流線型デザインと豪華な設備

第二次世界大戦後も、シカゴとシアトル間はプルマン寝台車を中心とした重鋼製客車による列車が運行されていましたが、1947年、その流れを変える革新的な列車が誕生しました。それが、オリンピアン・ハイアワサです。

インダストリアルデザイナー、ブルックス・スティーブンスのデザインによる流線型車体は、それまでの重厚な客車とは一線を画すものでした。スカイトップ・ラウンジ車（寝台・展望車）の採用は、乗客に新たな旅の楽しみを提供しました。さらに1952年には、全室展望車のスーパードームを導入。その豪華な設備と快適な空間は、多くの乗客を魅了しました。シカゴ・シアトル間の所要時間は、従来の50～60時間から43時間30分へと大幅に短縮されました。

競争激化と運行停止

しかし、1950年代に入ると、競合する鉄道会社の大陸横断列車や、航空機、長距離バスとの競争が激化しました。ミルウォーキー鉄道のシカゴ―オマハ間の路線をユニオン・パシフィック鉄道が使用するようになったことなども影響し、1961年5月22日、オリンピアン・ハイアワサは、大陸横断列車としての運行を停止しました。その後も一部区間で運行が続けられましたが、1969年には完全に運行を終えました。

アムトラックによる後継列車

1971年のアムトラック発足後、ミルウォーキー鉄道とノーザン・パシフィック鉄道の路線を経由するノースコースト・ハイアワサが1979年まで運行されました。これは、オリンピアン・ハイアワサの伝統を受け継ぐ列車として、新たな時代の鉄道の姿を示しました。

結論

オリンピアン・ハイアワサは、その豪華な設備、革新的なデザイン、そして電化区間を走る快適な旅によって、多くの人の記憶に刻まれました。大陸横断鉄道の黄金時代を象徴する列車として、その歴史は、これからも語り継がれていくでしょう。

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