オルカリア

ケニアのオルカリア地熱地帯：大地の恵みと地熱エネルギー

オルカリア（Olkaria、またはOl Karia）は、ケニアの首都ナイロビから北西約100km、ナイヴァシャ湖の南に広がる活気あふれる地域です。グレート・リフト・ヴァレーの東リフト・ヴァレーに位置し、その地質学的特徴から、独特の景観と豊かな地熱資源を有しています。

オルカリア火山体の壮大な歴史

オルカリアは、更新世から現在に至るまで活動を繰り返してきたオルカリア火山体（Olkaria Volcanic Complex）の中心部に位置します。80以上の火口からなるこの火山複合体は、約240平方キロメートルに広がり、その周囲にはロンゴノット山やススワ山といった他の火山も点在しています。主な噴出物はコメンダイト質溶岩ですが、粗面岩や玄武岩なども見られます。約2万年前から現在にかけて、溶岩ドームや溶岩流が基盤岩類を覆い尽くし、直径2キロメートル、高さ340メートルに達するオルカリア・ヒルは、その最大規模の溶岩ドームとして存在感を示しています。地下1000～2500メートルまで掘削されたボーリング孔からは、火山岩がさらに深くまで続いていることが確認されています。最新の噴火は約180年前、オロルブトト割れ目噴火口から発生した黒曜岩溶岩流と軽石流によるものでした。軽石流の中に含まれていた炭化した木の枝の放射性炭素年代測定から、その時期が特定されています。

オルカリア火山体の東側には、南北方向に伸びるンジョロワ渓谷（Njorowa Gorge or Ol Njorowa、別名ヘルズ・ゲイト渓谷）が刻まれています。200メートルに達する断崖に挟まれた狭い渓谷で、かつてナイヴァシャ湖の水位が現在より高かった時代には、湖水がここから南に向かって流れていたと考えられています。

ケニアを代表する地熱地帯：オルカリア地熱発電所

オルカリアは、ケニアを代表する地熱地帯として知られており、その地熱資源開発の歴史は1956年の掘削調査にまで遡ります。1970～1974年には、国連とケニアによる共同調査が行われ、オルカリア、エブルル、ハニントン湖（現在のボゴリア湖）の3地域が評価されました。その結果、オルカリアが地熱発電開発の最優先地域として選定されました。

1981年6月、オルカリア東部でアフリカ初となる15MWの地熱発電所（オルカリアI発電所一号機）が運転を開始しました。その後、1982年と1985年にはそれぞれ15MWの二号機、三号機が建設され、オルカリアI発電所は合計45MWの出力となりました。31本の坑井に接続されたこの発電所は、98％という高い稼働率を誇っています。

2003年には、オルカリア北東部に70MWのオルカリアII発電所が運転を開始しました。2つの35MWユニットからなるこの発電所は、現在アフリカ最大級の地熱発電所として稼働しています。オルカリアI、IIの発電所の建設は日本の三菱重工業が、運転はケニア電力公社(KenGen)が行っています。

さらに、オルカリア西部ではORMAT International社が3MWのバイナリ発電式地熱発電所4基（計12MW、オルカリアIII）を運転しており、2004年からは1.8MWのバイナリプラントも花卉栽培会社によって稼働しています。

オルカリア地熱地帯は、豊かな自然と先進的な地熱技術が融合した、ケニアのエネルギー開発における重要な拠点として、その役割を担い続けています。 ヘルズ・ゲート国立公園の一部として保護されている周辺環境も、オルカリアの重要な魅力となっています。

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