オルフェウス (リスト)

交響詩『オルフェウス』S.98

フランツ・リストが作曲した交響詩『オルフェウス』（Orpheus, S.98）は、彼の4番目の交響詩であり、1853年から1854年にかけて作曲されました。この作品は、クリストフ・ヴィリバルト・グルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』の序曲として作曲された経緯を持ちます。

作曲の背景

リストがこの作品を構想するきっかけとなったのは、彼自身がヴァイマルの宮廷劇場でグルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』を指揮したことでした。彼はオルフェウスに関するさまざまな資料を調べているうちに、ルーヴル美術館で見たエトルリアの壺に描かれたオルフェウスの姿に強く惹きつけられます。その壺には、優雅で細い指で竪琴を奏でるオルフェウスが描かれており、彼の奏でる美しい音楽が、森の動物たちをはじめ、あらゆるものを魅了している様子が描かれていました。この壺から得たインスピレーションが、この交響詩の創造につながったとされています。

リストは、この経緯を楽譜の冒頭に記しています。初演は1854年2月16日、ヴァイマル宮廷劇場にて、リスト自身の指揮により、オペラの序曲として行われました。その後、独立した交響詩として出版されました。

また、リスト自身によるヴァイオリンとハルモニウムの二重奏版も存在し、ジョリス・ヴェルディンとエーリッヒ・ヘーバルトによってCD録音も行われています。

編成

この交響詩は、以下の楽器編成で演奏されます。

ピッコロ
フルート 2
オーボエ 2
コーラングレ
クラリネット 2
ファゴット 2
ホルン 4
トランペット 2
トロンボーン 3
チューバ
ティンパニ
ハープ 2
弦五部

構成

楽曲は、冒頭に現れる素朴な旋律が全曲のモットーとなります。次に、チェロによって奏でられる第1主題は、オルフェウスの気品あふれる姿を彷彿とさせます。このほか2つの主題が用いられ、楽曲全体が構成されています。最後は、崇高な弦のパッセージがこだまのように木管楽器の和音を伴い、瞑想的で詩的な雰囲気の中で曲を閉じます。

この交響詩の演奏時間は約10分です。

関連作品

グルック：オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』

外部リンク

* オルフェウスの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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