オレグ・スヴャトスラヴィチ (チェルニゴフ公)

オレグ・スヴャトスラヴィチ：動乱の時代のルーシの公

オレグ・スヴャトスラヴィチ（1053年頃 - 1115年）は、チェルニゴフ公・キエフ大公スヴャトスラフの息子として生まれ、ヴォルィーニ、トムタラカニ、チェルニゴフ、ノヴゴロド・セヴェルスキーといった様々な地を統治しました。彼の生涯は、ルーシ内での激しい権力闘争と、遊牧民族ポロヴェツ族との複雑な関係に彩られています。

生涯

前半生

オレグは1075年に年代記に初めて登場します。父スヴャトスラフの存命中は、ヴォルィーニ公国を統治し、父の代理を務めました。1076年、父がキエフ大公位を巡って争っていた際、オレグは従兄弟のウラジーミル・モノマフと共に、ポーランドへの援軍に参加しました。父の死後、大公位に就いたイジャスラフによってウラジーミル・ヴォリンスキーを追われ、叔父のチェルニゴフ公フセヴォロドの元に身を寄せました。

1078年、トムタラカニへ逃亡し、ポロヴェツ族との連合軍を率いてチェルニゴフを攻撃しますが、ニヴァ平原の戦いで敗北し、再びトムタラカニへ撤退します。1079年には捕縛され、コンスタンティノープルを経てロドス島へ配流されますが、結婚後トムタラカニへの帰還を許され、1083年に公位に復位しました。

チェルニゴフ公国争奪戦

1094年、オレグは父の故地であるチェルニゴフ公位を奪還するため、ポロヴェツ族の支援を得てチェルニゴフへ侵攻しました。ウラジーミル・モノマフが籠るチェルニゴフを包囲し、モノマフは最終的に撤退。しかし、ポロヴェツ族による略奪を許したことで、オレグは『イーゴリ軍記』において「悲しみの子」と呼ばれ、ルーシに災いをもたらした人物として非難されることになります。

1095年、ルーシ諸公によるポロヴェツ族への遠征に不参加、ムーロムを攻撃。1096年には、モノマフとキエフ大公スヴャトポルクとの交渉を拒否したため、チェルニゴフへ攻め込まれます。スタロドゥーブでの防衛戦の後、和平交渉に応じますが、その後もムーロムやロストフを占領するなど、各地で紛争を繰り広げました。

1097年、リューベチ諸公会議に参加し、諸公が自領を世襲することが認められました。オレグはノヴゴロド・セヴェルスキーとクルスクを獲得し、ノヴゴロド・セヴェルスキー公国を統治しました。

世襲領確立以降

リューベチ諸公会議以降も、オレグは諸公会議に積極的に参加し、ルーシの安定に貢献しました。1107年には、ポロヴェツ族への遠征に参加し、その後もポロヴェツ族との婚姻関係を結ぶなど、外交的な手腕も発揮しました。

1115年8月1日に死去し、チェルニゴフの救世主大聖堂に埋葬されました。彼の子孫は、チェルニゴフ公国、ノヴゴロド・セヴェルスキー公国とその分領公国の公として、ルーシの歴史に大きな影響を与え続けました。

妻子

一人目の妻：ビザンツ帝国出身のフェオファニヤ
二人目の妻：ポロヴェツ族汗オセルクの娘

子：

マリヤ - ポーランドの貴族ピョートル・ヴロストヴィッチと結婚
フセヴォロド
イーゴリ
グレプ
スヴャトスラフ

登場作品

映画『ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者』（2018年、ロシア、演：ユーリー・ツリーロ）

オレグ・スヴャトスラヴィチは、激動の時代を生き抜き、ルーシの歴史に名を刻んだ公の一人です。彼の生涯は、権力闘争、外交、そして家族との絆を通して、当時のルーシ社会の複雑さを垣間見せてくれます。

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