オンネトー

オンネトー：変化に富む景観と貴重な自然

概要

北海道東部、阿寒摩周国立公園に位置するオンネトーは、アイヌ語で「年老いた沼」または「大きな沼」を意味する美しい湖です。雌阿寒岳の噴火によって形成された堰止湖であり、その神秘的な景観から「五色沼」の別名も持ちます。湖面は天候や時間帯によって様々な色に変化し、特に晴れた日の午前中はコバルトブルーに輝く様子が見られます。穏やかな水面には雌阿寒岳と阿寒富士が映し出され、雄大な自然を堪能できます。阿寒湖に近く、西方の十勝地方へと流れる螺湾川が流出河川となっています。エゾサンショウウオやザリガニなど、多様な生物が生息する豊かな生態系も特徴です。

オンネトー湯の滝：生きている鉱床

オンネトー湖の南東に位置するオンネトー湯の滝は、落差約30メートルの2条の滝からなる圧巻の景観で知られています。日本の地質百選にも選定され、国の天然記念物にも指定されているこの滝は、雌阿寒岳由来の温泉水が流れ落ちることで形成されています。水温43℃、pH6、マンガンイオンを多く含む温泉水は、周辺の安山岩溶岩の崖を流れ落ち、独特の景観を作り出しています。

特に注目すべきは、この滝が「生きている鉱床」である点です。温泉水中のマンガンイオンと、滝斜面に生息する糸状藻類やマンガン酸化細菌の働きによって、マンガン酸化物が継続的に生成されているのです。この現象は、陸上において世界的に見ても非常に珍しい事例であり、学術的な価値も高く評価されています。かつては滝上の池が天然の露天風呂として利用されていましたが、マンガン酸化物の生成過程の保護のため、現在は入浴禁止となっています。

歴史と保全活動

かつて周辺にはマンガン鉱山があり、採掘も行われていましたが、北海道大学の研究によって、この鉱床が形成途上にあることが発見されました。その後、学術調査や国際的な研究会が開催されるなど、オンネトー湯の滝は世界的な注目を集めました。

しかし、1985年頃から放流されたナイルティラピアなどの外来魚が藻類を食害し、マンガン泥の生成量が減少する問題が発生。環境省を中心に大掛かりな駆除事業が行われ、2019年には外来魚の根絶に成功しました。これは、野外に定着した外来魚を根絶させた全国初の事例として、大きな成果となりました。現在も、貴重な生態系の保全に向けた取り組みが続けられています。

観光とアクセス

オンネトーは、オコタンペ[[湖]]、東雲湖とともに北海道三大秘湖の一つに数えられています。湖畔には散策路や国設野営場が整備され、比較的アクセスしやすい環境が整っています。雌阿寒温泉も近く、観光拠点として利用できます。雄大な自然と貴重な地質現象を同時に楽しめるオンネトーは、北海道を代表する観光地の一つと言えるでしょう。ただし、ヒグマの出没もあるため、安全に配慮した行動が重要です。

足寄市街地からは約50キロ[[メートル]]、国道241号などを経由してアクセスできます。一部区間は未舗装道路や冬季通行止め区間もあるため、事前に道路状況を確認することが必要です。夏期には阿寒湖畔からのバスも運行されています。オンネトー湯の滝へのアクセスは、オンネトー湖の南にある駐車場から遊歩道を歩く必要があります。

まとめ

オンネトーは、その美しい景観、貴重な地質現象、そして豊かな生態系を併せ持つ、魅力的な場所です。自然の神秘と、それを守ろうとする人々の努力が感じられる、北海道を代表する観光地と言えるでしょう。訪れる際には、自然環境への配慮と、安全な行動を心がけましょう。

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