オーエンテューダー

オーエンテューダー：第二次世界大戦下のダービー馬とその血脈

オーエンテューダー(1938-1966)は、イギリスが生んだサラブレッド競走馬である。第二次世界大戦下の1941年、エプソムダービーの代替競走であるニューマーケットで開催された「ニューダービー」を制覇したことで知られる。その輝かしい競走馬としての経歴と、種牡馬として残した偉大な功績について見ていこう。

華麗なる競走馬時代

オーエンテューダーの父は名種牡馬ハイペリオン、母はフランスの優駿メアリーテューダーという、まさにサラブレッドの王族にふさわしい血統を受け継いでいた。青鹿毛の牡馬で、わずかに膝が曲がっていたという記述も残されている。

1941年、フレッド・ダーリン調教師の指導の下、競走馬としてのキャリアをスタート。デビュー戦であるソールズベリーステークスを圧勝で飾ると、その後も安定した成績を残し、2歳時にはフリーハンデで8位にランクインする実力を示した。

しかし、彼の真価が発揮されたのは3歳時、1942年である。第二次世界大戦の激化により、主要競走は各地で代替開催を余儀なくされていた時代。そんな中、オーエンテューダーはエプソムダービーの代替競走である「ニューダービー」に挑む。単勝オッズ26倍という穴馬扱いながら、見事優勝。祖父ゲインズバラ、父ハイペリオンに続く3代ダービー制覇という偉業を成し遂げたのだ。さらに同年、ニューマーケットセントレジャー、コラムステークスでも勝利を収め、その年の活躍を決定づけた。

4歳時には、ゴールドカップも制覇。その後、種牡馬入りするため、華々しい競走馬生活に幕を閉じた。

種牡馬としての成功

オーエンテューダーの種牡馬としての活躍は、競走馬時代と同様に輝かしいものだった。リーディングサイアーにはならなかったものの、1961年にはフランスの種牡馬ランキングで2位に輝くなど、その実力は折り紙付きである。

彼の産駒は、数々の競走で勝利を収め、世界中の競馬界にその名を刻んだ。特に有名なのはテューダーミンストレル。マイル以下の距離を得意とし、2000ギニーなどで8勝を挙げる活躍を見せたが、それ以上の距離では意外なほど不振だったことから、後世ではマイラーとして名高い。

他にも、短距離路線で活躍したアバーナント（ジュライカップ連覇）、フランスでクラシック競走を制したライトロワイヤル（キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで英二冠馬セントパディを破る）、アスコットゴールドカップとカドラン賞を制したエルペノール、アメリカで活躍したテューダーイラ、テューダーペリオッドなど、数々の名馬を輩出した。

日本でもハマノパレードやテンメイといった産駒が活躍するなど、世界規模でその血統は広がりを見せた。現在ではテューダーミンストレルの血統がイギリスに残る程度となっているものの、オーエンテューダーの偉大な功績は、多くの名馬たちによって今も競馬界に語り継がれている。

1960年に種牡馬を引退したオーエンテューダーは、1966年、28歳でその生涯を終えた。しかし、彼の残した功績は、これからも競馬史に深く刻み込まれ続けるだろう。

血統表

（ここでは詳細な血統表は割愛します。参考文献を参照ください。）

参考文献

The Encyclopaedia of Flat Racing（1986 著者：Howard Wright、出版：Robert Hale。 ISBN 0-7090-2639-0）

外部リンク

Hyperion#Owentudor - Thoroughbred Heritage （英語）

* 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ

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