フェラーラとモデナの君主一覧

フェラーラ、モデナ、レッジョの君主たちの歴史

この文書では、13世紀から19世紀にかけてイタリアに存在したフェラーラ、モデナ、レッジョの各都市を支配した君主たちについて解説します。これらの地域を統治した主な家系はエステ家であり、その興隆から終焉、そしてハプスブルク家への継承までを辿ります。

エステ家の起源と勢力拡大

エステ家は、ランゴバルド人の血を引く有力な貴族とされ、10世紀以降エステ辺境伯の地位を世襲し、その名を家名としました。1196年からはフェラーラ侯爵の地位を得て、1240年にはフェラーラにおけるシニョリーア（僭主制）を確立しました。その後、1289年にはモデナとレッジョの侯爵を兼ねるようになり、その勢力を拡大しました。

15世紀に入ると、エステ家の支配領域はさらに拡大しました。1452年にはモデナとレッジョが、1471年にはフェラーラがそれぞれ侯爵領から公爵領へと昇格しました。これにより、エステ家は名実ともに有力な領主としての地位を確立しました。

エステ家の衰退とモデナ公国の成立

しかし、エステ家の栄華は長くは続きませんでした。1598年、フェラーラはローマ教皇に奪取され教皇領に編入され、エステ家はフェラーラを失いました。その後はモデナ＝レッジョ公国（通称：モデナ公国）として存続することになります。1796年、モデナ公国はナポレオン・ボナパルトによって征服され、チザルピーナ共和国に編入されました。

1814年、ナポレオンの没落後、モデナ公国はエステ家最後のモデナ公エルコレ3世の女系の孫にあたるハプスブルク家（オーストリア＝エステ家）のフランチェスコ4世の下で再興されました。しかし、1859年にはサルデーニャ王国に併合され、モデナ公国は完全に滅亡しました。この時、モデナ公フランチェスコ5世は嫡出の子孫を残さずに死去したため、エステ家は完全に断絶することになりました。

ハプスブルク家による継承

モデナ公爵とレッジョ公爵の位、そしてハプスブルク家の一員であることを示すオーストリア＝エステ大公の称号は、エステ家の遠縁にあたるオーストリア皇太子フランツ・フェルディナントに引き継がれました。さらに、フランツ・フェルディナントの死後、皇太子となり皇帝となったカール1世へと継承され、その後はカールの子孫へと引き継がれています。

フェラーラ、モデナおよびレッジョの君主一覧

フェラーラ、モデナおよびレッジョの侯爵（エステ家）

オビッツォ2世（1264年 - 1293年）
アッツォ8世（1293年 - 1308年）
アルドブランディーノ2世（1308年 - 1326年）
オビッツォ3世（1317年 - 1352年）
ニッコロ1世（1317年 - 1344年）
アルドブランディーノ3世（1335年 - 1361年）
ニッコロ2世（1361年 - 1388年）
アルベルト（1388年 - 1393年）
ニッコロ3世（1383年 - 1441年）
レオネッロ（1441年 - 1450年）

フェラーラ、モデナおよびレッジョの公爵（エステ家）

ボルソ（1450年 - 1471年、1452年からモデナおよびレッジョ公、1471年からフェラーラ公）
エルコレ1世（1471年 - 1505年）
アルフォンソ1世（1505年 - 1534年）
エルコレ2世（1534年 - 1559年）
アルフォンソ2世（1559年 - 1597年）

モデナおよびレッジョの公爵（エステ家）

チェーザレ（1597年 - 1628年） 1598年にフェラーラを失う
アルフォンソ3世（1628年 - 1629年）
フランチェスコ1世（1629年 - 1658年）
アルフォンソ4世（1658年 - 1662年）
フランチェスコ2世（1662年 - 1694年）
リナルド3世（1694年 - 1737年）
フランチェスコ3世（1737年 - 1780年）
エルコレ3世（1780年 - 1796年、1803年没）

モデナおよびレッジョの公爵（オーストリア＝エステ家）

フランチェスコ4世（1814年 - 1846年）
フランチェスコ5世（1846年 - 1859年）

モデナおよびレッジョの公爵（オーストリア＝エステ家、亡命君主による自称）

フランチェスコ5世（1859年 - 1875年）
フランツ・フェルディナント（1875年 - 1914年）
カール1世（1914年 - 1917年）
ローベルト（1917年 - 1996年）
ローレンツ（1996年 - ）

このリストは、フェラーラ、モデナ、レッジョを支配した君主たちの系譜を辿る上で重要な資料となります。エステ家の歴史は、イタリアの歴史と深く結びついており、その変遷はヨーロッパの歴史にも大きな影響を与えました。

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