オールド・ファッションド・ラヴ・ソング

「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」（原題：An Old Fashioned Love Song）は、アメリカのロックバンド、スリー・ドッグ・ナイトが1971年にリリースした代表的な楽曲の一つです。作詞作曲は、数多くのヒット曲を手がけたシンガーソングライター、ポール・ウィリアムズが担当しました。

制作の背景

この楽曲の背景には、興味深いいきさつがあります。作曲者のポール・ウィリアムズは、当時「愛のプレリュード」や「雨の日と月曜日は」といった、彼自身の作品を含む「古き良きラブソング」で絶大な人気を博していたカーペンターズのために、この曲を特別に書き下ろしたとされています。ウィリアムズは、カーペンターズの温かくノスタルジックな音楽スタイルに合わせた楽曲を制作しましたが、彼らの中心メンバーであるリチャード・カーペンターに採用されませんでした。そのため、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」は最終的に、その年に『Harmony』というアルバムを制作中だったスリー・ドッグ・ナイトに提供されることとなったのです。

スリー・ドッグ・ナイト版の成功

スリー・ドッグ・ナイトによる「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」は、1971年 9月30日に発売されたアルバム『Harmony』に初めて収録されました。このバージョンでリード・ボーカルを務めているのは、バンドの3人のボーカリストの一人、チャック・ネグロンです。アルバム発表後、この楽曲は同年11月にシングルとしてカットされ、瞬く間にヒットを記録しました。

特に、アメリカの主要な音楽チャートであるビルボードでの成功は特筆されます。最も権威ある総合シングルチャート、Hot 100では、1971年 12月18日付のチャートから3週連続で最高位となる4位を維持する大ヒットとなりました。さらに、ソフトな楽曲が好まれるイージーリスニング・チャート（現在の名称はAdult Contemporaryチャート）では、見事に1位を獲得しています。これらの実績が認められ、このシングルはゴールドディスクに認定されました。アメリカ国外でも人気を博し、カナダの主要シングルチャートでは最高位2位を記録するなど、北米を中心に大きな成功を収めました。

ポール・ウィリアムズ自身のバージョン

作曲者であるポール・ウィリアムズ自身も、この楽曲を自身のアルバムに収録しています。彼のバージョンは、スリー・ドッグ・ナイト版と同じ1971年にリリースされたアルバム『Just an Old Fashioned Love Song』に収められており、彼自身によってもシングルカットされています。作曲者によるセルフカバーとして、また違った味わいを持つバージョンとして知られています。

その他のカバー

「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」は、その普遍的なメロディと歌詞から、多くのアーティストによってカバーされています。主なカバーバージョンとしては、以下のようなものが挙げられます。

- カーペンターズ＆キャロル・バーネット：皮肉にも、当初この曲を歌わなかったカーペンターズが、1972年1月19日に放送された人気テレビ番組『キャロル・バーネット・ショー』内の企画「ポール・ウィリアムズ・メドレー」にて、ホストのキャロル・バーネットと共にこの曲を披露しています。
- レイ・コニフ：ムード音楽の巨匠、レイ・コニフは、1972年のアルバム『I'd Like to Teach the World to Sing』の中で、コーラスを主体とした独自のスタイルでこの曲をカバーしました。
- ザ・ニュー・シーカーズ：イギリスのフォーク・ポップグループ、ザ・ニュー・シーカーズは、彼らの1972年のアルバム『We'd Like to Teach the World to Sing』（英国盤）にこの曲を収録しています。
- レターメン：アメリカのコーラストリオ、レターメンは、1972年のアルバム『Lettermen 1』の中で、持ち前の美しいハーモニーでこの曲を取り上げています。
- 南沙織：日本のアイドル歌手、南沙織は、1972年にリリースしたアルバム『純潔/ともだち』の中に日本語カバーバージョンを収録しました。
- ヤング101：NHKの音楽番組『ステージ101』に出演していたコーラスグループ、ヤング101も、番組関連のアルバム『怪獣のバラード』（1972年）でこの曲をカバーしています。

このように、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」は、その誕生の背景やその後の多岐にわたるカバーバージョンからも、時代を超えて多くの人々に愛され続けている楽曲と言えるでしょう。

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