カイ＝ウヴェ・フォン・ハッセル

カイ＝ウヴェ・フォン・ハッセル：ドイツ政治の重鎮

カイ＝ウヴェ・フォン・ハッセル（Kai-Uwe von Hassel）は、1913年4月21日にドイツ領東アフリカ（現在のタンザニア）で生まれ、1997年5月8日にドイツで亡くなった政治家です。ドイツキリスト教民主同盟（CDU）に所属し、戦後の西ドイツにおいて、州首相、国防相、連邦議会議長など、数々の要職を歴任しました。

生い立ちと初期の経歴

ハッセルの祖父は陸軍中将で、叙爵を受けて「フォン」の称号を得ました。父は陸軍大尉で、退役後にタンザニアでプランテーション農園を経営しました。ハッセルはそこで生まれましたが、第一次世界大戦後、一家はイギリス当局によってドイツに追放され、グリュックスブルクに住みました。

1933年に高校を卒業後、農産物取引の修行を積みました。1935年には商人としてタンガニーカに戻りましたが、第二次世界大戦勃発により敵性外国人として収容され、ドイツへ強制送還されました。帰国後、兵士として従軍し、1943年から1945年まで、ヴィルヘルム・カナリス提督の国防軍防諜部（アプヴェーア）に所属しました。敗戦時に捕虜となり、釈放後、1947年までフレンスブルク郡庁に勤務しました。

シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州首相

1946年にCDUに入党し、翌年にはグリュックスブルク市議会議員に当選、市長も務めました。1948年にはフレンスブルク郡議会議員、1950年にはシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州議会議員に選出されました。1950年に党の州副代表となり、1951年から1954年まで州内務政務次官を務めました。1953年にはドイツ連邦議会に初当選しました。

1954年11月には連邦議会議員を辞職し、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州首相に就任しました。1963年まで州首相を務め、その間、1955年から1年間は連邦参議院議長も兼任しました。後に連邦議会議長も務めたため、ハッセルは参議院議長と連邦議会議長の双方を経験した唯一の人物となりました。1955年から1964年まで、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州のCDU州代表を務め、1956年から1969年までCDU副党首も兼任しました。また、州内相や州法相を代行した時期もありました。

大臣・連邦議会議長

1962年、シュピーゲル事件により国防相が辞任すると、1963年にハッセルは後任の国防相としてアデナウアー内閣に招聘されました。エアハルト内閣でも国防相に留任しました。1964年より州党副代表に転じ、1965年にドイツ連邦議会議員に復帰しました。キージンガー首相の大連立政権では、追放ドイツ人・難民・戦争被災者担当相を務めました。1969年2月にはドイツ連邦議会議長に選出され、大臣職を辞しました。

1969年の総選挙でCDUは政権を失いましたが、第一党の地位は守ったため、ハッセルは議長に留任しました。1972年の総選挙でSPDが第一党になったため、ハッセルは副議長に転じました。議長・副議長在任中には様々な委員会の委員長を務め、特に1972年10月には西ドイツの国連加盟に伴う基本法改正を審議する委員会の議長を務めました。

1973年から1981年まで、欧州連合キリスト教民主同盟総裁を務め、1977年には欧州評議会で副議長、1977年から1980年まで西欧同盟議長を務めました。1979年から1984年までは欧州議会議員も務めました。1980年にドイツ連邦議会を去り、政界を引退しました。

死去とその後

1997年5月8日、アーヘンで心臓発作により急逝しました。死後、ドイツ連邦議会で追悼式典が行われました。

家族

最初の結婚で一男一女をもうけましたが、1970年に息子を事故で亡くしました。その後、再婚し、一男をもうけました。夫人はハッセルの名を冠した財団の総裁を務めています。また、伯従父には「日本スキーの父」と呼ばれるテオドール・エードラー・フォン・レルヒがいます。

表彰と著作

1956年にはドイツ連邦共和国功労勲章大十字章、イタリア共和国功労勲章大十字章を受章しました。ハッセルにちなんだ「カイ＝ウヴェ・フォン・ハッセル賞」があり、また、兵舎にはハッセルの名が冠されています。著作には、議会に関するものや、民主主義、政治改革についての論文などがあります。

カイ＝ウヴェ・フォン・ハッセルは、その長い政治キャリアの中で、様々な重要な役割を担い、戦後のドイツの政治に大きな影響を与えた人物として記憶されています。

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