カウシア

カウシア：古代マケドニアの帽子

カウシア（古代ギリシア語: καυσία, 英語: kausia）は、古代マケドニアで生まれた平らな形状の帽子です。ヘレニズム時代を通じて広く着用され、その影響は地中海地域から遠く離れたグレコ・バクトリア王国、さらにはインド北西部のインド・グリーク朝にまで及んでいます。

歴史と起源

カウシアの起源はアレクサンドロス3世（アレキサンダー大王）の時代よりも前に遡ると考えられています。その後、ローマ時代には貧困層の人々が日除けとして使用しました。

この帽子の描写は、当時の硬貨や彫像に数多く見られます。これは、カウシアが広範囲にわたって普及していたことを示唆しています。

興味深いことに、古代ペルシア語で書かれたベヒストゥン碑文には、アケメネス朝ペルシア人が古代マケドニア人とその他の古代ギリシア人を「ヤウナ（Yauna）」と呼んでいたという記述があります。「ヤウナ」はイオニア地方の民族名をペルシア語風に表現したものであり、碑文では「海辺のヤウナ」と「盾のような帽子をかぶった者（yauna takabara）」を区別しています。この「盾のような帽子」こそ、カウシアを指していると考えられています。

ボニー・キングスレーの研究によれば、カウシアはアレクサンドロス3世の東方遠征の帰還兵によって、戦闘用の帽子として地中海地域に持ち込まれた可能性があります。しかし、エルンスト・フレドリクスマイヤーは、カウシアがアジアからマケドニアに伝わったとしても、すでにマケドニアの伝統的な衣装として確立されていたと指摘しています。

現代への影響

カウシアの現代における後継として考えられるのが、パキスタン、アフガニスタン、ジャンムー・カシミール連邦直轄領などで広く着用されている「パコール」と呼ばれる男性用の帽子です。パコールはカウシアと非常によく似た形状をしています。

まとめ

カウシアは、古代マケドニアで生まれ、ヘレニズム時代を通じて広く着用された帽子です。その影響は広範囲に及び、現代の帽子にもその面影を残しています。カウシアは、単なる帽子としてだけでなく、当時の文化や社会を反映するアイテムとして、歴史の中で重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。

ギャラリー

[カウシアを被った人物の画像1]
[カウシアを被った人物の画像2]

関連項目

古代ギリシアの服飾
ペタソス
* ピレウス帽

外部リンク

[ウィキメディア・コモンズのカウシア関連カテゴリへのリンク]

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