カザスケル

カザスケルとは

カザスケル（トルコ語: Kazasker）とは、オスマン帝国における宗教的事柄を担当する軍事法官であり、一般には大法官として知られています。この役職は、オスマン帝国の司法制度の中で重要な位置を占めており、特に宗教に関連する問題についての裁判を扱っていました。

カザスケルの役割

カザスケルは、カーディー（法官）、マドラサの教授、聖職者などの職務を設定、変更または取消しを行う役割を持っていました。そのため、カーディーの判断に対して異議を申し立てることができます。1560年代以降、多くの権限はシェイヒュルイスラームへと移行しましたが、カザスケルは依然としてオスマン帝国社会で重要な役割を果たしていました。

カザスケルという語は、アラビア語の「カーディー」（裁判官）と、軍隊を意味する「アスケル」の組み合わせで形成されています。このため、カザスケルの職務は宗教的・法的な見地からの裁判にとどまらず、国の行政におけるさまざまな関連事項にも影響を及ぼしました。カザスケルは、オスマン帝国の学者階級であるイルミエの一員であり、特に高位に位置する存在と見なされていました。

役職の変遷

カザスケルは1480年までアナトリア地域に独立して存在し、その後はアナトリアとルメリ地方に分割されました。特にルメリ地方のカザスケルは、従来より高い地位とされ、重要な法的問題を監督しました。1619年、セリム1世によるイラン遠征を受けて、第3のカザスケルが設置されましたが、これも後に廃止されています。

カザスケルは、裁判や宗教的問題に対して大宰相に対し推薦や助言を行ったことでも知られています。この職責は17世紀以降、シェイヒュルイスラームに移譲されましたが、特定のカーディーや教授職の任命にかかわる職権は一部カザスケルに残されました。

任命と任期

カザスケルの任命は、17世紀までは大宰相がスルタンに推薦する形で行われましたが、その後はシェイヒュルイスラームがその権限を引き継ぎました。この職の任期は、初めは2年と定められていましたが、17世紀以降は1年に短縮されました。ただし、退任後に再び同じ職に就くことも可能でした。

カザスケルの役職は、オスマン帝国が崩壊するまで存続しており、その存在はこの帝国の司法制度の重要な一環となりました。カザスケルの職責を通じて、オスマン帝国の法的、行政的、そして宗教的な問題において、一定の調和を保とうとしたことは、当時の社会においても大きな意義を持っていました。

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