カザンラク

カザンラク（Kazanlak）は、ブルガリア中部のスタラ・ザゴラ州に位置する都市です。バルカン山脈の麓、カザンラク平原に開けており、ブルガリア国内では15番目に大きな工業都市として知られています。2017年時点での人口は約4万4千人です。特に、ローズオイルの生産地として世界的に有名で、バラの谷の東端に位置しています。

歴史

カザンラク一帯には、新石器時代（紀元前6000～5000年前）から人が居住していたことが確認されています。紀元前4～3世紀頃には、この地域はトラキア人の支配下にあり、セウト三世の治世下で、ヘレニズム文化の影響を受けながら重要な歴史的発展を遂げました。カザンラク近郊で発見された古代都市セウテポリスは、トラキア人の都市として知られており、コプリンカ貯水池建設の際に詳細な調査が行われました。紀元前4世紀には、セウテポリス近郊にトラキア人の墳墓が築かれ、その中でも特に有名な「カザンラクのトラキア人の墳墓」は、1979年にユネスコの世界遺産に登録されています。

中世には、カザンラク平原はブルガリアの貴族エルティミールの領地であるクルンの中心地でした。その後、1370年にはオスマン帝国の支配下に入ります。現代のカザンラクの起源は15世紀にさかのぼり、シプカ峠を防御するための軍事要塞が築かれたことが始まりです。その後、手工業が発達し、皮革加工、銅細工、ガラス細工、織物、靴作り、樽の製造など50以上の多様な産業が栄えました。また、バラの栽培も盛んになり、精油用のバラはインドからペルシア、シリア、トルコを経て持ち込まれ、カザンラクの気候と土壌が栽培に適していたため、高品質なローズオイルの生産地として名を馳せるようになりました。カザンラクのローズオイルは、パリ、ロンドン、フィラデルフィア、アントウェルペンなどの展示会で数々の金メダルを獲得しています。しかし、オスマン帝国支配後、巨大な市場を失ったことから手工業は衰退し、代わりに軍需産業が発展しました。

工業

カザンラクには、1924年に設立されたアーセナル社があり、AK-47タイプの小火器、地対空ミサイル、マシンガンなど多様な軍事装備を開発・製造しています。また、M+Sハイドラウリック社とカプロニJSC社も立地し、モーターやシリンダーなどの部品を製造しています。さらに、織物工場も3箇所存在し、名産のローズオイルを生産する工場も立地しています。

みどころ

カザンラクは、バラの谷の東端に位置しており、5月にはバラの花々が咲き誇り、その美しさと香りは格別です。毎年6月最初の週には、バラ祭りが開催され、舞踏や美人コンテストなど様々なイベントが行われます。美人コンテストで選ばれた女性は「バラの女王」と呼ばれ、地元の人々に愛されています。バラ祭りは1903年から続いており、100年以上の伝統を持つ国際的なイベントとして、多くの観光客を魅了しています。

ギャラリー

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姉妹都市

カザンラクは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

アレクサンドリア（2006年）
ルクソール（2006年）
グラース（2004年）
サン＝テルブラン（2008年）
ヴェオリア（2001年）
トリヤッチ（1994年）
コチャニ（2007年）
ナジカニジャ（1970年）
* トゥルゴヴィシュテ（2004年）

脚注

（脚注に関する記述は省略）

外部リンク

（外部リンクに関する記述は省略）

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