カジイチゴ

カジイチゴ：温暖な地に咲く、食用可能なキイチゴ

カジイチゴ（学名: Rubus trifidus）は、バラ科キイチゴ属に属する低木で、その名の通り葉の形がクワ科のカジノキに似ていることが特徴です。主に西日本の温暖な地域に自生し、海岸や海沿いの山地などで見られます。オレンジ色の甘い実をつけることから、食用として親しまれてきました。別名キイチゴ、トウイチゴ、エドイチゴなどとも呼ばれ、古くから人々の生活に密着した植物と言えるでしょう。

カジイチゴの形態と生態

カジイチゴは、高さ2～3メートルに成長する落葉または半常緑広[[葉樹]]です。茎は直立し、よく枝分かれします。緑色または暗紅色の茎には、トゲが少ないか、全くないのがキイチゴ属の中では珍しい特徴です。若い株にはトゲが見られる場合もあります。根は浅く張りますが、地下[[茎]]を伸ばして繁殖するため、一度生育を始めると広がりやすい性質を持っています。

葉は互生し、長さ10～20センチメートルほどの掌状で3～7裂した大きな葉をつけます。葉縁にはギザギザの重鋸歯があり、光沢のある緑色の葉身は、秋には紅葉する品種もあります。

花期は4～5月頃。新しい枝先に3～5個の白い花を咲かせます。花は直径3～4センチメートルで、5枚の花弁はシワを寄せています。そして、5～6月頃には、キイチゴの中では大型の約2センチメートルの橙黄色の集合果をつけます。果実は上向きに付き、一粒一粒はクマイチゴのような先が尖ったしずく型をしています。この甘い実は生食で楽しむことができ、ジャムなどに加工することも可能です。

冬芽は楕円形で、緑褐色から赤紫色の芽鱗に包まれています。枝先に仮頂芽、枝には側芽が互生し、葉痕は三角形やV字形で、維管束痕が3個確認できます。

カジイチゴの分布と生育環境

カジイチゴは、日本の本州（関東以西の太平洋側沿岸）、伊豆諸島、九州に分布しています。温暖な気候を好み、日当たりが良い海岸線や山地の斜面などに多く生育します。土壌はあまり選びませんが、水はけの良い場所を好みます。

カジイチゴの利用

カジイチゴは、その美しい姿から庭木として利用されることがあります。また、春の若葉は生け花の花材としても用いられています。

ただし、地下[[茎]]を伸ばして繁殖するため、一度定着してしまうと駆除が難しい植物でもあります。そのため、庭に植える際には、その繁殖力の強さを考慮し、生育範囲を管理する必要があります。剪定を適切に行うことで、一本の木のように整った樹形に仕立てることも可能です。

まとめ

カジイチゴは、食用にも観賞用にも利用できる魅力的な植物です。その独特の葉の形や、甘い実、そして繁殖力の強さなど、様々な特徴を持つカジイチゴについて理解を深めることで、より一層その魅力を楽しむことができるでしょう。 今後、カジイチゴの研究が進むことで、新たな利用方法や、栽培方法の開発なども期待できます。

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