カジュラーホー

カジュラーホー：インドの歴史と芸術の宝庫

カジュラーホー（Khajuraho）は、インドの中部に位置するマディヤ・プラデーシュ州の小さな村であり、デリーからは620キロメートル南東に位置しています。ここは、約5000人の住民が暮らす静かな地域ですが、世界的に有名な寺院群がひしめいており、その芸術的価値は計り知れません。特に、ヒンドゥー教とジャイナ教の寺院が織り成す精緻な彫刻は、多くの観光客や研究者を惹きつけています。

カジュラーホーの名称

カジュラーホーという名称は、古来より「カジュラホ」とも表記されていましたが、最近では標準ヒンディー語に基づく「カジュラーホ」や「カジュラーホー」が主流となっています。この表記方法には、現地の発音により近いという特長があります。当記事では、新しい表記を使用することにします。

カジュラーホー寺院群の歴史

カジュラーホーでの寺院建設は、チャンデーラ朝の支配の下、10世紀から12世紀にかけて進められました。この時期には、約85か所の寺院が造られたとされていますが、現在残っているのは25の寺院のみです。寺院群は、約6平方キロメートルの範囲にわたって広がっており、特徴的な三つのグループに分類されています：南グループ（ヒンドゥー教寺院）、東グループ（ジャイナ教寺院）、西グループ（主にヒンドゥー教寺院）。

南グループの寺院

南グループには、ヴィシュヌ派の寺院が集中しており、ミトゥナ像を含む官能的なレリーフが共通のテーマとなっています。これらの彫刻は豊穣祈願を込めており、当時の人々の信仰と価値観を反映しています。

西グループの寺院

最も著名なのは西グループで、ここにはデリーからの観光客も多く訪れます。其中でも特に知られるのは以下の寺院です。

• - ラクシュマナ寺院：チャンデーラ朝のヤショーヴァルマン王によって建設され、ヴィシュヌ神に捧げられました。五堂形式の寺であり、外壁や副祠堂には浮彫りが施されています。

• - ヴィシュヴァナータ寺院：1002年に建設されたこの寺は、特有のシカラ（尖塔）で知られ、壁面に男女の神々や空想上の生き物の彫刻が施されています。そのユニークな構造が観光客を惹きつけています。

• - カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院：カジュラーホーで最大の寺院で、11世紀中葉に建設されました。特徴的なシカラが特徴で、シヴァ神に捧げられています。これらのシカラは、シヴァ神の住処とされるカイラス山を象徴するものと考えられています。

東グループの寺院

東グループには、ジャイナ教の寺院が主に存在します。中でもパールシュバナータ寺院は有名で、男女の彫刻が施されたシカラが目を引きます。

アクセス

カジュラーホーへは、空路や陸路でアクセスが可能です。カジュラーホー空港からはデリーとの直行便が利用でき、また鉄道でジャーンシー駅からバス利用が一般的です。近年、鉄道インフラが整備され、ワーラーナシーからの利用も便利になりました。

カジュラーホーは、その文化的・歴史的価値からユネスコの世界遺産にも登録されており、世界中から多くの観光客が訪れています。古代の人々の信仰や芸術が今も生き続けているこの地に、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか？

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