カタバミ

カタバミ（片喰・酢漿草）

カタバミ（学名: Oxalis corniculata）は、カタバミ科カタバミ属の多年草です。日本では古くから親しまれ、様々な地方名を持っています（かがみぐさ、すいば、しょっぱぐさ等）。中国では酢漿草と呼ばれ、別名として三葉酸草、老鴨嘴などがあります。

近年、日本でよく見られるオッタチカタバミは帰化植物であり、カタバミと間違われることがありますが、古い図鑑には記載されていません。

形態・生態

カタバミは地下に球根を持ち、さらにその下に大根のような根を下ろします。匍匐茎を伸ばして地表に広がり、繁殖力が非常に強いため、駆除が難しい雑草として知られています。

葉は球根の先端から束になって生え、ハート型の3枚の小葉からなる三出複葉です。葉の色は通常黄緑色ですが、赤紫色のアカカタバミという品種も存在します。葉は昼間に開き、夜には閉じます。

春から秋にかけて、鮮やかな黄色の花を咲かせます。花びらは5枚で、日当たりの良い場所では開花しますが、日陰ではしぼんでしまうのが特徴です。

果実は円柱状で先端が尖っており、上向きにつきます。成熟すると、動物などが触れた際に種子を勢いよく弾き飛ばし、最大1メートル程度の範囲に散布します。この仕組みが繁殖に役立っています。

葉や茎にはシュウ酸水素ナトリウムなどの水溶性シュウ酸塩が含まれており、噛むと酸っぱい味がします。シュウ酸（oxalic acid）という名前は、カタバミ属（Oxalis）の葉から発見されたことに由来します。また、葉にはクエン酸や酒石酸も含まれています。

ヤマトシジミの幼虫は、カタバミを食草としています。

分布

カタバミは世界中に広く分布しており、特にヨーロッパ周辺に多いとされます。日本では、本州から九州にかけて分布し、畑や庭、道端など、身近な場所で見ることができます。

下位分類

変種

ケカタバミ (O. c. var. trichocaulon)：全体的に毛が多いタイプです。

品種

アカカタバミ (O. c. f. rubrifolia)：葉が小さく、赤色の品種です。通常のカタバミよりも耐性が高く、都市部の道路脇などでも生育します。
ウスアカカタバミ (O. c. f. atropurpurea)：葉の色がカタバミとアカカタバミの中間色です。
ホシザキカタバミ (O. c. f. plena)：花弁が10枚程度の重弁咲きです。
タチカタバミ (O. c. f. erecta*)：茎が直立する品種です。オッタチカタバミとは異なります。

人間との関わり

カタバミの茎と葉は食用とされ、熱湯にくぐらせて酢の物、天ぷら、サラダなどにすると、シュウ酸由来の酸味を楽しむことができます。

全草は酢漿草（サクショウソウ）という生薬名で呼ばれ、消炎、解毒、下痢止めなどの作用があるとされています。臨床実験で肝炎への効果も報告されています。民間療法では、絞り汁が虫刺されに効果があるとされることもあります。

花言葉は「輝く心」です。

家紋

片喰紋・酢漿草紋は日本の家紋の一種で、平安時代には車紋として使用されていました。繁殖力が強く、絶えにくいことから、家運隆盛・子孫繁栄の縁起物として武家の間で用いられました。十大家紋の一つに数えられています。

戦国大名の長宗我部元親や上泉信綱、酒井氏などが酢漿草紋を家紋として使用しました。田中角栄の家紋も「剣片喰」です。山口県立宇部高等学校の校章や江戸川女子中学校・高等学校の校章にも、カタバミがデザインされています。

片喰紋は、ハート型の葉が3つ描かれるのが基本ですが、丸や剣、蔓などが加えられることもあります。蕾を描いた「片喰の実」や、4つの葉を描いた「四つ葉片喰」など、様々なバリエーションがあります。

ロゴマーク等（クローバーモチーフとの類似）

クローバー（シロツメクサなど）をモチーフとしたロゴマークで、小葉部分をハート型としたものが見られますが、3枚葉の場合はカタバミ、4枚葉の場合は田字草が似た形状となります。

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